〈事例で学ぶ〉
法人税申告書の書き方
【第24回】
「別表14(4) 新株予約権に関する明細書」
公認会計士・税理士
菊地 康夫
Ⅰ はじめに
本稿では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。
第24回目は、いわゆるストック・オプションを採用する企業が最近増えてきているため、「別表14(4) 新株予約権に関する明細書」を採り上げる。
Ⅱ 概要
この別表は、個人に法人税法第54条の2第1項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する新株予約権が交付されている場合に、同項の役務の提供を受ける法人が記載する。
本制度は、いわゆるストック・オプションと呼ばれているものであり、企業会計上は、「ストック・オプション等に関する会計基準」及び「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」(平成17年12月27日、企業会計基準委員会)等に基づいて処理される。
すなわち、企業がストック・オプションを付与し、これに応じて従業員等から取得するサービスは、権利確定日まではその取得に応じて費用として計上し、対応する金額をストック・オプションの権利の行使又は失効が確定するまでの間、貸借対照表の純資産の部に「新株予約権」として計上する。権利行使がなされたら、新株予約権として計上した金額のうち、その権利行使に対応する部分を払込資本に振り替えることになる。
【参考記事】
「ストック・オプション会計を学ぶ」(全12回)
- 【第1回】 ストック・オプションを巡る最近の動向
- 【第2回】 ストック・オプション会計基準の適用範囲
- 【第3回】 ストック・オプションの会計処理の概要
- 【第4回】 権利確定日以前の会計処理
- 【第5回】 権利確定日後の会計処理
- 【第6回】 公正な評価単価
- 【第7回】 条件変更の会計処理①
- 【第8回】 条件変更の会計処理②
- 【第9回】 ストック・オプションと業務執行や労働サービスとの対応関係の認定①
- 【第10回】 ストック・オプションと業務執行や労働サービスとの対応関係の認定②
- 【第11回】 未公開企業
- 【第12回】 財貨又はサービスの取得の対価として自社株式オプション又は自社の株式を用いる取引の会計処理
一方、税務では、新株予約権者の所得税法上の課税は、権利行使時に払込額と取得した株式の時価との差額を給与所得等として課税されることを原則としつつ、いわゆる税制適格ストック・オプション(措法29の2)に該当するものについては、付与時及び権利行使時には課税されず、権利行使により取得した株式を譲渡した時に譲渡所得として課税されることになる。
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