公開日: 2018/06/14 (掲載号:No.272)
文字サイズ

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第37回】「大竹貿易事件」~最判平成5年11月25日(民集47巻9号5278頁)~

筆者: 菊田 雅裕

さっと読める!

実務必須の

[重要税務判例]

【第37回】

「大竹貿易事件」

~最判平成5年11月25日(民集47巻9号5278頁)~

 

弁護士 菊田 雅裕

 

-本連載の趣旨-

本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。

税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。

本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。

このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。

なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。

▷今回の題材

大竹貿易事件

(最判平成5年11月25日(民集47巻9号5278頁))

《概要》

輸出業者であるX社は、下の関係図①~④のようにして商品を輸出し、その代金を回収していた。そして、X社は、従前から、関係図④の時点で輸出取引の収益を計上し、所得金額を計算の上、法人税の確定申告をしていた。

このようにしてX社が行っていた輸出取引のうちのある取引につき、④荷為替手形を取引銀行に買い取ってもらったのが、①船積みが行われた事業年度の次の事業年度となった。

X社は、上記に従い、この取引の収益について、④荷為替手形の買取が行われた事業年度の収益として計上して、法人税の確定申告をした。これに対し、Y税務署長は、X社は①船積みの時点で収益を計上すべきで、1つ前の事業年度の収益とすべきだったとして、X社に対し、更正処分を行った。

X社は、これを不服として、処分の取消しを求める訴訟を提起したが、最高裁は、X社の主張を認めなかった。

《関係図》

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

さっと読める!

実務必須の

[重要税務判例]

【第37回】

「大竹貿易事件」

~最判平成5年11月25日(民集47巻9号5278頁)~

 

弁護士 菊田 雅裕

 

-本連載の趣旨-

本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。

税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。

本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。

このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。

なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。

▷今回の題材

大竹貿易事件

(最判平成5年11月25日(民集47巻9号5278頁))

《概要》

輸出業者であるX社は、下の関係図①~④のようにして商品を輸出し、その代金を回収していた。そして、X社は、従前から、関係図④の時点で輸出取引の収益を計上し、所得金額を計算の上、法人税の確定申告をしていた。

このようにしてX社が行っていた輸出取引のうちのある取引につき、④荷為替手形を取引銀行に買い取ってもらったのが、①船積みが行われた事業年度の次の事業年度となった。

X社は、上記に従い、この取引の収益について、④荷為替手形の買取が行われた事業年度の収益として計上して、法人税の確定申告をした。これに対し、Y税務署長は、X社は①船積みの時点で収益を計上すべきで、1つ前の事業年度の収益とすべきだったとして、X社に対し、更正処分を行った。

X社は、これを不服として、処分の取消しを求める訴訟を提起したが、最高裁は、X社の主張を認めなかった。

《関係図》

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例]

連載が単行本になりました!!
くわしくは[こちら

第1回~第90回

筆者紹介

菊田 雅裕

(きくた・まさひろ)

弁護士
横浜よつば法律税務事務所

【略歴】
・平成13年 東京大学法学部卒業
・平成16年 司法試験合格
・平成18年 弁護士登録
・平成23~25年 福岡国税不服審判所 国税審判官
・平成25~26年 東京国税不服審判所 国税審判官

【著書】
さっと読める!実務必須の重要税務判例70』(清文社、2021年)

関連書籍

法人税事例選集

公認会計士・税理士 森田政夫 共著 公認会計士・税理士 西尾宇一郎 共著

プロフェッショナル 消費税の実務

税理士 金井恵美子 著

会計税務便覧

日本公認会計士協会東京会 編

重点解説 法人税申告の実務

公認会計士・税理士 鈴木基史 著

消費税実務問答集

杉村勝之 編

「税関の税務調査」と消費税の更正の請求

税理士 八ッ尾順一 監修 税理士 杉澤雄一 著

演習消費税法

公益社団法人 全国経理教育協会 編 金井恵美子 著

演習法人税法

公益社団法人 全国経理教育協会 編

【電子書籍版】法人税事例選集

公認会計士・税理士 森田政夫 共著 公認会計士・税理士 西尾宇一郎 共著

事例で解説 法人税の損金経理

税理士 安部和彦 著

はじめてのインボイス登録と消費税の申告

税理士 小谷羊太 監修 税理士 森本耕平 著

【電子書籍版】会計税務便覧

日本公認会計士協会東京会 編

税法基本判例 Ⅰ

谷口勢津夫 著

社長!税務調査の事前対策してますか

公認会計士・税理士 清原裕平 著

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#