さっと読める!
実務必須の
[重要税務判例]
【第83回】
「不動産取得税減額特例事件」
~最判平成28年12月19日(民集70巻8号2177頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
不動産取得税減額特例事件
最判平成28年12月19日(民集70巻8号2177頁)
《概要》
X社は、平成20年3月19日に都市再生機構から本件土地を買い受け、平成22年3月9日にA社に対して本件土地を売却した。X社は、B都税事務所長に不動産取得税申告書を提出したが、同事務所長は、X社に対し、平成23年5月11日付で不動産取得税の賦課処分を行った。X社は、これを受けて、納期限である同月31日までに、不動産取得税全額を納付した。
その後、平成24年1月30日に本件土地上に合計6棟の共同住宅が完成し、A社は、同年3月5日、この各建物について、同年1月30日に新築を原因とする表示登記を得た。
X社は、不動産取得税減額の特例の要件を満たすとして、都税総合事務センター所長に対し、不動産取得税の還付申請をしたが、同所長は、これを還付しない旨の処分(本件処分)をした。X社は、これを不服とし、東京都知事への審査請求を経て、本件処分の取消しを求めて東京都(Y)を提訴した。
最高裁は、X社の主張を認めなかった。
《関係図》
※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。
▷争点
地方税法施行令附則6条の17第2項にいう「居住の用に供するために独立的に区画された部分が100以上ある共同住宅等」に当たるか否かは、1棟の共同住宅等ごとに判断すべきか否か。複数棟の共同住宅等で合計100以上の独立区画部分があるにすぎない場合でも、当該規定を適用し得るか。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。