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実務必須の
[重要税務判例]
【第43回】
「遺産分割協議と第二次納税義務事件」
~最判平成21年12月10日(民集63巻10号2516頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
遺産分割協議と第二次納税義務事件
(最判平成21年12月10日(民集63巻10号2516頁))
《概要》
被相続人Aは、2億円分の財産を遺し死亡した。被相続人Aの相続人は、夫B、子X・Cの3名であった。なお、Bは、所得税等11億円を滞納していた。
B・X・Cは遺産分割協議を行い、Xは遺産の6割以上に当たる1億3,000万円分の財産を取得した一方(法定相続分は4分の1)、Bは遺産の1割の2,000万円分の財産を取得した(法定相続分は2分の1)。
Y国税局長は、当該遺産分割協議は、国税徴収法39条の第三者に利益を与える処分に当たるとして、Xに対し、Bの滞納国税につき第二次納税義務の納付告知処分をした。
Xは、遺産分割協議には国税徴収法39条は適用されないなどと主張して争ったが、最高裁は、Xの主張を認めなかった。
《関係図》
▷争点
1 遺産分割協議は国税徴収法39条の「第三者に利益を与える処分」に当たり得るか。
2 滞納者に詐害の意思があることは、国税徴収法39条の適用に当たって必要な要件か。
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