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実務必須の
[重要税務判例]
【第55回】
「集合債権譲渡担保と国税徴収法24条事件」
~最判平成19年2月15日(民集61巻1号243頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
集合債権譲渡担保と国税徴収法24条事件
最判平成19年2月15日(民集61巻1号243頁)
《概要》
B社は、A社のX社からの借入金につき連帯保証をし、これに伴い、B社がC社との継続的取引に基づいて取得する売掛代金債権(将来の債権を含む)について、X社のために債権譲渡担保を設定して、C社に対し、確定日付のある書面で設定通知をした。その後B社が手形不渡りを出したため、X社はC社に対し債権譲渡担保の実行通知をした。他方、Y(国)も、B社への滞納処分として、B社のC社に対する売掛債権を差し押さえた。C社が債権者不確知により供託したため、X社は、Y・B社を相手に供託金還付請求権を有することの確認を求める訴訟を提起し、最終的にこれは認容された。
これを受けて、Yは、国税徴収法24条の規定に基づき、X社の還付請求権を差し押さえたので、X社が当該処分の取消しを求めて提訴したのが本件である。最高裁は、X社の主張を認め、当該差押処分を取り消した。
《関係図》
▷争点
国税の法定納期限以前に、将来発生すべき債権を目的として譲渡担保契約が締結され、第三者に対する対抗要件が具備されていた場合、国税徴収法24条6項(現8項)は適用されるか。
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