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実務必須の
[重要税務判例]
【第10回】
「確定的な脱税意思による過少申告事件」
~最判平成7年4月28日(民集49巻4号1193頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
確定的な脱税意思による過少申告事件
最判平成7年4月28日(民集49巻4号1193頁)
《概要》
今回紹介する判例は、Xが、株式等の売買による多額の雑所得を申告すべきことを熟知しながら、A税理士の質問に対して雑所得があることを否定し、A税理士に過少な申告を記載した確定申告書を作成させてこれを提出させたところ、Y税務署長が、Xに対し、重加算税の賦課決定処分をしたという事案である。
最高裁は、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在しないとしても、判示の事実関係の下においては、確定的な脱税の意思に基づき多額の雑所得を秘匿して税理士に過少申告させたものであり、重加算税の賦課要件を満たすと判断した。
《関係図》
▷争点
積極的な隠匿等の行為までは認められないXに対し、重加算税を賦課することができるか。
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