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実務必須の
[重要税務判例]
【第14回】
「ホステス報酬源泉徴収事件」
~最判平成22年3月2日(民集64巻2号420頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
ホステス報酬源泉徴収事件
最判平成22年3月2日(民集64巻2号420頁)
《概要》
今回紹介する判例は、パブクラブのホステスの報酬に関する源泉所得税額の計算方法が問題となった事案である。
すなわち、所得税法205条2号、同法施行令322条によれば、支払う報酬の額から、「5,000円に当該支払金額の計算期間の日数を乗じて計算した金額」を控除し、その金額をベースに源泉所得税の額を計算することとなっている。パブクラブ経営者Xは、ホステスに対し、半月ごとに集計して報酬を支払っていたので、5,000円に半月分の日数(約15日)を乗じて、控除額を計算していた。
これに対し、Y税務署長が、5,000円に乗じることができるのは、実際の稼働日数だけであるとして、源泉所得税の差額分につき、納税告知処分等を行った。
最高裁は、Xの計算方法が正しいと判断した。
《関係図》
▷争点
所得税法施行令322条の「支払金額の計算期間の日数」とは、本件ではホステスの実際の稼働日数なのか、それとも、集計期間に含まれる、稼働日以外の日も含むすべての日数なのか。
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