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実務必須の
[重要税務判例]
【第66回】
「倉敷青果荷受組合事件」
~最判平成30年9月25日(民集72巻4号317頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
倉敷青果荷受組合事件
最判平成30年9月25日(民集72巻4号317頁)
《概要》
X組合が、平成19年12月に、理事長Aに対し、48億円の債務を免除したところ、Y税務署長から、当該債務免除益(本件債務免除益)はAに対する賞与に該当するとして、給与所得に係る源泉所得税の納税告知処分等を受けた。そこで、X組合が、その取消しを求めて出訴したのが本件である。
Aは、平成17年に、B債権回収会社からも債務免除を受けていた。その後、Aは、平成17年分の所得税について更正処分を受け、異議申立てをし、平成19年8月に、Y税務署長から異議決定を受けた。その理由中では、B債権回収会社からの債務免除益について、旧通達(債務免除益のうち、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたものについては、所得金額の計算上収入金額に算入しない、とするもの)の適用があるとの判断がなされていた。
そのため、X組合は、本件債務免除益についても旧通達の適用があり課税されないと考え、Aとの間でもその旨を確認の上債務免除した。X組合は、こうした理由で、源泉所得税の納付をしなかったものである。
X組合は、上記の経緯から、Aとの間で確認した前提条件に錯誤があるため、債務免除も無効であり、源泉所得税の納税告知処分等を受ける理由がないとして争ったが、結論としては、最高裁は、X組合の当該主張を認めなかった。
《関係図》
▷争点
給与所得に係る源泉所得税の納税告知処分について、源泉所得税の納付義務の発生原因行為の錯誤無効を主張して、当該処分の適否を争うことができるか。
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