租税争訟レポート
【第57回】
「事務所立退料の所得区分（第一審：東京地方裁判所平成25年１月25日判決、控訴審：東京高等裁判所平成26年２月12日判決）」
税理士・公認不正検査士（CFE）
米澤 勝
【判決／決定の概要】
〈第一審〉
東京地方裁判所平成25年１月25日判決
所得税更正処分取消等請求事件
平成23年（行ウ）第736号（税務訴訟資料 第263号－14（順号12138））
TAINSコード：Z263-12138
［原告］
弁護士（法律事務所を設けて弁護士の業務を行う者）
［被告］
国
処分行政庁：麹町税務署長
［争点］
（１） 本件金員に係る所得の種類（事業所得か、一時所得か）〔争点１〕
（２） 理由付記の不備の違法等の有無〔争点２〕
［判決］
棄却（納税者敗訴）
〈控訴審〉
東京高等裁判所平成26年２月12日判決
所得税更正処分取消等請求控訴事件
平成25年（行コ）第70号（税務訴訟資料 第264号－24（順号12405））
TAINSコード：Z264-12405
［控訴人］（第一審原告）
弁護士（法律事務所を設けて弁護士の業務を行う者）
［被控訴人］（第一審被告）
国
処分行政庁：麹町税務署長
［争点］
第一審に同じ。
［判決］
棄却（納税者敗訴）
〈上告・上告受理申立て〉
最高裁判所（第一小法廷）平成27年３月５日決定
所得税更正処分取消等請求上告兼上告受理事件
平成26年（行ツ）第204号、平成26年（行ヒ）第206号（税務訴訟資料 第265号－38（順号12621））
TAINSコード：Z265-12621
［上告人兼申立人］
弁護士（法律事務所を設けて弁護士の業務を行う者）
［被上告人兼相手方］
国
［決定］
上告棄却、上告不受理
【事案の概要】
本件は、弁護士である原告が、平成18年分、平成19年分及び平成20年分の所得税について、その法律事務所のために賃借していた建物の部分を賃貸人に明け渡したことに伴って賃貸人から取得したいわゆる立退料（原告が取得したこの金員を総称して、以下「本件金員」という）に係る所得を一時所得に区分した内容の確定申告書をそれぞれ提出したところ、麹町税務署長から、当該所得の一部は事業所得に区分される等として、本件各更正処分等を受けたため、それらの一部の取消しを求めた事案である。
原告が、旧事務所の賃貸人との間で合意した内容（合意書の要旨）は以下のとおりである。
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