公開日: 2022/10/13 (掲載号:No.490)
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さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第80回】「タキゲン事件」~最判令和2年3月24日(集民263号63頁)~

筆者: 菊田 雅裕

さっと読める!

実務必須の

[重要税務判例]

【第80回】

「タキゲン事件」

~最判令和2年3月24日(集民263号63頁)~

 

弁護士 菊田 雅裕

 

-本連載の趣旨-

本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。

税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。

本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。

このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。

なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。

▷今回の題材

タキゲン事件

最判令和2年3月24日(集民263号63頁)

《概要》

非公開会社A社の代表取締役であったBは、平成19年8月、所有していたA社の株式(15.88%を保有、Bの親族との合計では22.79%。なお、1株当たり1個の議決権がある)の一部を、C社に対し、1株当たり75円(配当還元方式により算定した価額と同じ金額)で譲渡した(本件株式譲渡)。これにより、Bの株式・議決権は8%、Bとその親族との合計では14.91%、C社は7.88%となった。

Bは、同年12月に死亡した。そこで、Bの相続人Xは、翌年3月、Bの平成19年分の所得税につき、本件株式譲渡に係る譲渡所得の収入金額を、その代金額と同額として、準確定申告を行った。これに対し、所轄税務署長は、本件株式譲渡時におけるA社の株式の価額は類似業種比準方式により算定すべき(1株当たり2,000円超)で、そうすると本件株式譲渡は所得税法59条1項2号の低額譲渡に当たるとして、更正処分をした。

原審はXの主張に従い配当還元方式による譲渡価額の算定を認めたが、最高裁は、原審の判断は違法であると判断した上、具体的な価額等についてさらに審理を尽くさせるため、原判決を破棄し、本件を原審に差し戻した。

《関係図》

▷争点

本件株式譲渡は、所得税法59条1項2号の低額譲渡に当たるか。

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[重要税務判例]

【第80回】

「タキゲン事件」

~最判令和2年3月24日(集民263号63頁)~

 

弁護士 菊田 雅裕

 

-本連載の趣旨-

本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。

税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。

本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。

このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。

なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。

▷今回の題材

タキゲン事件

最判令和2年3月24日(集民263号63頁)

《概要》

非公開会社A社の代表取締役であったBは、平成19年8月、所有していたA社の株式(15.88%を保有、Bの親族との合計では22.79%。なお、1株当たり1個の議決権がある)の一部を、C社に対し、1株当たり75円(配当還元方式により算定した価額と同じ金額)で譲渡した(本件株式譲渡)。これにより、Bの株式・議決権は8%、Bとその親族との合計では14.91%、C社は7.88%となった。

Bは、同年12月に死亡した。そこで、Bの相続人Xは、翌年3月、Bの平成19年分の所得税につき、本件株式譲渡に係る譲渡所得の収入金額を、その代金額と同額として、準確定申告を行った。これに対し、所轄税務署長は、本件株式譲渡時におけるA社の株式の価額は類似業種比準方式により算定すべき(1株当たり2,000円超)で、そうすると本件株式譲渡は所得税法59条1項2号の低額譲渡に当たるとして、更正処分をした。

原審はXの主張に従い配当還元方式による譲渡価額の算定を認めたが、最高裁は、原審の判断は違法であると判断した上、具体的な価額等についてさらに審理を尽くさせるため、原判決を破棄し、本件を原審に差し戻した。

《関係図》

▷争点

本件株式譲渡は、所得税法59条1項2号の低額譲渡に当たるか。

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連載目次

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例]

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第1回~第90回

筆者紹介

菊田 雅裕

(きくた・まさひろ)

弁護士
横浜よつば法律税務事務所

【略歴】
・平成13年 東京大学法学部卒業
・平成16年 司法試験合格
・平成18年 弁護士登録
・平成23~25年 福岡国税不服審判所 国税審判官
・平成25~26年 東京国税不服審判所 国税審判官

【著書】
さっと読める!実務必須の重要税務判例70』(清文社、2021年)

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