〈事例から理解する〉
税法上の不確定概念の具体的な判断基準
【第16回】
「所得税法上の「非居住者」の該非」
公認会計士・税理士 大橋 誠一
1 大阪国税不服審判所平成29年1月23日裁決(TAINSコード:F0-1-763)
(1) 事実関係の概要
① 審査請求人(請求人)は、過去に勤務先がA国に設立した現地法人であるB社の役員を務めていたが、平成16年頃に退職し、その後は特定の職業に就いていなかった。
② 請求人は、平成25年及び平成26年(本件各年)を含むその前後の年において日本及びA国に滞在し、それぞれの合計滞在日数は、平成25年において日本102日・A国259日・他国4日、平成26年において日本212日・A国153日であった。
③ 請求人は、A国のリタイアメントビザを取得して長期滞在型ホテルの一室に単身で起居するとともに、日本においては生計を一にする妻が居住する肩書住所地に起居していた。
④ 請求人は、日本の公的年金及び日本の証券会社とのインターネットを利用した有価証券取引によって収入を得ていた。
⑤ 請求人は、肩書住所地の不動産を所有し、主要な金融資産を日本に所在する銀行の支店において開設した預金口座及び上記証券取引口座に預ける一方、国外資産はほとんど有していなかった。
⑥ 請求人は、肩書住所地を自己の住所とする国民健康保険に加入して、必要の都度に日本に滞在し、それ以外の期間はA国に滞在していた。
⑦ 請求人は、平成25年の所得税の確定申告書に肩書住所地を記載して提出したが、平成26年については無申告であった。
⑧ 原処分庁は、日本にある肩書住所地が請求人の住所地であり、請求人は居住者であるとして、所得税の更正決定処分及び加算税の賦課決定処分をした。
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