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実務必須の
[重要税務判例]
【第20回】
「共同相続人の連帯納付義務事件」
~最判昭和55年7月1日(民集34巻4号535頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
共同相続人の連帯納付義務事件
(最判昭和55年7月1日(民集34巻4号535頁))
《概要》
被相続人Aが死亡し、X・B・CがAを相続して、所轄の税務署長(Y´)に対し相続税の申告をした。しかし、B・Cが相続税を完納しなかったので、Y´は、Xには連帯納付義務があるとして、Xの所有地の差押えをした。そこで、Xは当該所有地をD社に売却し、D社は、差押えにかかる未納相続税を代位弁済として納付した上、Xに対する求償権とXに支払うべき売買代金債務とを相殺した。
その上で、Xは、国(Y)に対し、Xの連帯納付義務の確定には特別の手続が必要なのにこれが行われていないから、連帯納付義務は不存在であるなどと主張し、D社による納付金は過誤納金であるとして、返還請求を行ったというのが本件である。
最高裁は、Xの主張を認めず、D社による納付金の返還はしなくてよいと判断した。
《関係図》
▷争点
相続税法34条1項の連帯納付義務は、各相続人の固有の納税義務の確定に応じて法律上当然に確定するか、別に確定手続を必要とするか。
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