租税争訟レポート
【第73回】
「相続税更正処分等取消請求事件
(大阪地方裁判所令和4年4月14日判決)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【判決の概要】
大阪地方裁判所令和4年4月14日判決
相続税更正処分等取消請求事件
TAINSコード:Z888-2541
[原告]
被相続人の次女である相続人
[被告]
国(処分行政庁:東税務署長)
[争点]
(1) 手続上の争点
- 被告の訴訟行為が憲法77条2項、民事訴訟規則80条1項等に違反するか否か及びその法的効果〔争点1〕
- 被告の訴訟行為が憲法82条1項に違反するか否か〔争点2〕
(2) 本案の争点
- 本件各処分が憲法31条に適合するか否か〔争点3〕
- 本件各処分が憲法30条及び憲法84条に適合するか否か〔争点4〕
[判決]
棄却(納税者敗訴)、控訴
【事案の概要】
本事案における被相続人の法定相続人は、被相続人の長女である原告の姉と次女である原告の2人である。原告は、平成28年1月28日、姉との間で、被相続人の相続に係る自己の相続分をすべて姉に譲渡し(本件相続分譲渡)、同月29日、姉から譲渡代金として1,000万円の支払を受けた。
処分行政庁は、本件相続に関し実地調査を行い、令和2年10月14日、申告代理人の税理士に対し調査結果の内容を説明したうえで、令和2年11月30日付けで、原告に対し、原告が本件相続分譲渡によって取得した譲渡代金1,000万円は相続税の課税対象となることなどを理由として、納付すべき税額を150万5,800円とする旨の更正処分及び納付すべき過少申告加算税の額を20万円とする旨の賦課決定処分を行い、「相続税の更正通知書及び過少申告加算税の賦課決定通知書」を送付した。原告は、同年12月1日、上記通知書を受領した。
本件は、原告が、処分行政庁から令和2年11月30日付けで受けた更正処分及び賦課決定処分は、原告が相続分の譲渡によって取得した譲渡代金を相続税の課税対象とする点で法律の根拠に基づかずに課税するものであり、租税法律主義について定める憲法30条及び84条に反し違憲・違法であるなどと主張して、被告を相手に、本件各処分の取消しを求める事案である。
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