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実務必須の
[重要税務判例]
【第72回】
「ガーンジー島事件」
~最判平成21年12月3日(民集63巻10号2283頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
ガーンジー島事件
最判平成21年12月3日(民集63巻10号2283頁)
《概要》
ガーンジー島の外国法人Aは、内国法人Xの子会社であり、平成10年12月の設立以来、XがAの発行済株式の全てを保有していた。ガーンジー島では、法人の所得税の課税方法をいくつかの制度の中から選択し得るという、柔軟な税制を採用していた。Aは、当該制度の中から、法人の所得税につき、0%を上回り30%までの間で税率を申請し、税務当局に承認されると、その税率が適用される制度を選択した上で、平成11~14年の各事業年度につき、適用税率を26%とするよう申請し、これは承認され、その旨の所得税の賦課決定がなされた。Aは、これに基づき、所得税を納付した。
Xは、これを踏まえ、平成11~14年の各事業年度につき、タックスヘイブン対策税制の適用がないものとして、法人税の申告をした。しかし、Y税務署長は、本件でもタックスヘイブン対策税制の適用があるとして、Xに対し更正処分を行った。そこで、Xは、当該処分の取消しを求めて提訴した。一審・二審は、Xの主張を認めなかったが、最高裁判所は、Xの主張を認め、更正処分を取り消した。
《関係図》
▷争点
Aがガーンジー島において納付した所得税は、当時の法人税法69条1項・同法施行令141条1項にいう外国法人税に該当するか。
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