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実務必須の
[重要税務判例]
【第60回】
「宅地並み課税事件」
~最判平成13年3月28日(民集55巻2号611頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
宅地並み課税事件
最判平成13年3月28日(民集55巻2号611頁)
《概要》
Xは、市街化区域内に所有する農地を、農業委員会が定めた小作料にて、小作農Yに賃貸していた。ところが、地方税法の改正により、当該農地が宅地並み課税の対象となった。これにより、固定資産税等の額が小作料を大きく上回るようになってしまった。
そこで、Xは、Yに対し、生産緑地指定を受けることについての同意を求めたが、Yはこれに同意しなかった。そこで、Xは、Yに対し、小作料増額の意思表示をした上、賃料の増額についての確認を求める訴訟を提起した。
しかし、最高裁は、Xの請求を認めなかった。
《関係図》
▷争点
小作地に対する宅地並み課税により固定資産税等の額が増加したことを理由として小作料の増額請求をすることができるか。
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