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実務必須の
[重要税務判例]
【第18回】
「エス・ブイ・シー事件」
~最判平成6年9月16日(刑集48巻6号357頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
エス・ブイ・シー事件
(最判平成6年9月16日(刑集48巻6号357頁))
《概要》
X社は、その所得を秘匿するため、社外の協力者Aに架空の土地造成工事の見積書及び請求書を提出させ、これらを利用して架空の造成費を計上して原価を計算することによって、当該架空造成費を損金の額に算入して、法人税の確定申告をした。関連して、X社は、協力者Aに対して手数料(本件手数料)を支払っており、これも損金の額に算入していた。
そこで、Y検察官は、上記方法により所得を秘匿した上、不正の方法により法人税を免れたとして、X社を起訴した。これに対し、X社は、上記手数料は当該事業年度における損金であるとして争ったのが本件である。
最高裁は、本件手数料を損金の額に算入することは許されないとして、X社の主張を認めなかった。
《関係図》
▷争点
法人が、架空の経費を計上して所得を秘匿することに協力した者に手数料を支払った場合、当該手数料を所得金額の計算上損金の額に算入することができるか。
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