〔事例で使える〕
中小企業会計指針・会計要領
《自己株式》編
【第2回】
「自己株式の処分」
公認会計士・税理士 前原 啓二
連載の目次はこちら
はじめに
「中小企業会計指針」は、(1)自己株式の取得及び保有、(2)自己株式の処分、(3)自己株式の消却について、言及しています。
会社法により、A社自身が取得して保有しているA社株式(自己株式)を、原則として株主総会の特別決議により、例えばd氏のような他者へ譲渡(処分)することができます。
今回は、「(2)自己株式の処分」についてご紹介します。
【設例2】
(1) A社は、×2年5月30日の株主総会の特別決議に基づき、×2年7月15日にA社自身が保有するA社株式をd氏へ1株100,000円で4株譲渡(処分)し、同日(払込期日)に払込されました。
- 非上場会社であるA社(3月31日決算)の×2年3月31日決算の貸借対照表上の純資産は次のとおりです。
資本金40,000千円、資本準備金10,000千円、利益準備金5,000千円、繰越利益剰余金50,000千円、自己株式△800千円、純資産合計104,200千円 - A社の譲渡(処分)直前の保有自己株式は10株で、×1年7月20日に、@80,000円/株にて取得したもののみです。
(2) A社は、×3年5月30日の株主総会の特別決議に基づき、×3年7月10日にA社自身が保有するA社株式をe氏へ1株60,000円で6株譲渡(処分)し、同日(払込期日)に払込されました。
- 非上場会社であるA社(3月31日決算)の×3年3月31日決算の貸借対照表上の純資産は次のとおりです。
資本金40,000千円、資本準備金10,000千円、その他資本剰余金80千円、利益準備金5,000千円、繰越利益剰余金40,000千円、自己株式△480千円、純資産合計94,600千円 - A社の譲渡(処分)直前の保有自己株式は6株で、×1年7月20日に、@80,000円/株にて取得したものです。
(1)(2)いずれも
- A社の発行済株式数は1,000株(普通株式の1種類のみ発行)です。
- 前回の【設例1】におけるA社の×2年3月31日現在の資本金等の額を、この設例でも引き継ぐものとします。
- 自己株式の処分に関する付随費用はないものとします。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。