公開日: 2020/04/09 (掲載号:No.364)
文字サイズ

事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第16回】「筆頭株主の譲渡等により原則的評価となる株主への対応」

筆者: 太陽グラントソントン税理士法人 事業承継対策研究会

事例でわかる[事業承継対策]

解決へのヒント

【第16回】

「筆頭株主の譲渡等により原則的評価となる株主への対応」

 

太陽グラントソントン税理士法人
(事業承継対策研究会)
パートナー 税理士 梶本 岳

 

相談内容

私Eは、製造業を営むF社で代表取締役社長を務めています。当社は創業メンバーの3名(A・B・C)が脱サラして設立した製造業で、ABCの3名が均等に株式を保有したまま順調に規模を拡大してきました。

私は当社の創業メンバー3名(A・B・C)と親族関係にはありませんが、設立直後から創業メンバーの3名を支えてきた功績が認められ、F社の経営を託されることになりました。

当社は、先述のとおり、創業メンバー3名が均等に株式を保有していた関係で、創業メンバーそれぞれの退任に合わせて資本政策の見直しを迫られてきました。

最初に創業メンバーCが当社を退任した際には、Cが保有する株式を後任の取締役に就任した私Eが5%、それ以外の28%を当社の従業員持株会が譲り受けました。

創業メンバーBは、当社の経営に関与していないBの子D氏に全株を相続させ、将来にわたってD氏が配当収入を得られることを望んでいましたが、顧問税理士が議決権割合を30%未満に引き下げれば配当還元価額による相続が可能となることを提案してくれたおかげで、私Eが5%分の株式をBから引き取り、Bの議決権割合を3分の1未満に引き下げ、その後Bは亡くなりました。

※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。

そして、まもなく最後の創業メンバーAの退任時期が近づいています。Aは当社の株式に固執することなく、当社が安定経営できるように経営陣や従業員持株会に株式を譲渡しても構わないと考えてくれているようです。

現在の筆頭株主であるAが株式を手放した場合、当社は30%以上の株式を保有する同族株主のいない会社となり、筆頭株主となるD氏が同族株主と同じ原則的評価になってしまうと顧問税理士から説明を受けました。D氏は、筆頭株主といっても議決権の28%しか株式を保有しておらず、会社に経営権を主張したりできる株数ではありません。このような場合でも、D氏が同族株主と同じ評価方法になってしまうのでしょうか。

D氏はBからの相続時に配当還元価額により株式を相続しています。突然、株式の相続税評価額が高くなることについて、どのように説明すればよいでしょうか。

また、D氏が原則的評価となることを回避するために、D氏に対して当社から提案できることが何かあるでしょうか。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

事例でわかる[事業承継対策]

解決へのヒント

【第16回】

「筆頭株主の譲渡等により原則的評価となる株主への対応」

 

太陽グラントソントン税理士法人
(事業承継対策研究会)
パートナー 税理士 梶本 岳

 

相談内容

私Eは、製造業を営むF社で代表取締役社長を務めています。当社は創業メンバーの3名(A・B・C)が脱サラして設立した製造業で、ABCの3名が均等に株式を保有したまま順調に規模を拡大してきました。

私は当社の創業メンバー3名(A・B・C)と親族関係にはありませんが、設立直後から創業メンバーの3名を支えてきた功績が認められ、F社の経営を託されることになりました。

当社は、先述のとおり、創業メンバー3名が均等に株式を保有していた関係で、創業メンバーそれぞれの退任に合わせて資本政策の見直しを迫られてきました。

最初に創業メンバーCが当社を退任した際には、Cが保有する株式を後任の取締役に就任した私Eが5%、それ以外の28%を当社の従業員持株会が譲り受けました。

創業メンバーBは、当社の経営に関与していないBの子D氏に全株を相続させ、将来にわたってD氏が配当収入を得られることを望んでいましたが、顧問税理士が議決権割合を30%未満に引き下げれば配当還元価額による相続が可能となることを提案してくれたおかげで、私Eが5%分の株式をBから引き取り、Bの議決権割合を3分の1未満に引き下げ、その後Bは亡くなりました。

※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。

そして、まもなく最後の創業メンバーAの退任時期が近づいています。Aは当社の株式に固執することなく、当社が安定経営できるように経営陣や従業員持株会に株式を譲渡しても構わないと考えてくれているようです。

現在の筆頭株主であるAが株式を手放した場合、当社は30%以上の株式を保有する同族株主のいない会社となり、筆頭株主となるD氏が同族株主と同じ原則的評価になってしまうと顧問税理士から説明を受けました。D氏は、筆頭株主といっても議決権の28%しか株式を保有しておらず、会社に経営権を主張したりできる株数ではありません。このような場合でも、D氏が同族株主と同じ評価方法になってしまうのでしょうか。

D氏はBからの相続時に配当還元価額により株式を相続しています。突然、株式の相続税評価額が高くなることについて、どのように説明すればよいでしょうか。

また、D氏が原則的評価となることを回避するために、D氏に対して当社から提案できることが何かあるでしょうか。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

事例でわかる
[事業承継対策]解決へのヒント

連載を収録した単行本が好評発売中!!

【第1回】~【第50回】

筆者紹介

太陽グラントソントン税理士法人 事業承継対策研究会

法人内における以下の執筆メンバーを中心に、中堅・中小企業の事業承継問題の解決に向けた研究を行っています。

〔執筆メンバー〕
パートナー 税理士 日野有裕
パートナー 税理士 梶本 岳
マネジャー 公認会計士・税理士 岩丸涼一
マネジャー 税理士 髙田泰輔

https://www.grantthornton.jp/aboutus/tax/

〔著書〕
ケース別 事業承継対策Q&A~事例でわかる解決へのヒント~

関連書籍

非上場株式の評価実務

東京タックスコンサルティング 税理士 柴田健次 著

中小企業の事業再生等ガイドラインの実務

弁護士 福岡真之介 著 弁護士 片井慎一 著 公認会計士・税理士 松田隆志 著

Q&A 中小企業における「株式」の実務対応

東京中小企業投資育成株式会社 公認会計士・税理士 中野威人 著

「配当還元方式」徹底活用ガイド

税理士 山本和義 著

中小企業の事業承継

税理士 牧口晴一 著 名古屋商科大学大学院教授 齋藤孝一 著

〔目的別〕組織再編の最適スキーム

公認会計士・税理士 貝沼 彩 著 公認会計士・税理士 北山雅一 著 税理士 清水博崇 著 司法書士・社会保険労務士 齊藤修一 著

土地・株式等の財産評価

税理士 香取 稔 著

詳説 自社株評価Q&A

税理士 竹内陽一 編著 税理士 掛川雅仁 編著 税理士 村上晴彦 編著 税理士 堀内眞之 編著

組織再編税制大全

公認会計士・税理士 佐藤信祐 著

経営危機に陥った社長さんを守る最後の救済策

公認会計士・税理士 橋口貢一 著

中小企業の運営・承継における理論と実務 ファミリービジネスは日本を救う

大阪弁護士会・日本公認会計士協会近畿会・ファミリービジネス研究会 著

非公開会社における少数株主対策の実務

弁護士法人ピクト法律事務所 代表弁護士 永吉啓一郎 著

精選Q&A 相続税・贈与税全書〔財産評価編〕

税理士法人チェスター 編著 税理士 香取 稔 編著

相続・事業承継に役立つ生命保険活用術

税理士法人レディング 税理士 木下勇人 著

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#