さっと読める!
実務必須の
[重要税務判例]
【第74回】
「第二次納税義務における徴収不足の要件事件」
~最判平成27年11月6日(民集59巻7号1796頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
第二次納税義務における徴収不足の要件事件
最判平成27年11月6日(民集59巻7号1796頁)
《概要》
X社は、平成20年12月に、A社の所有する複数の不動産を譲り受けた。このA社については、平成21年2月に再生手続開始の決定がなされたものの、事業継続を不可能とする事実が明らかになったため、翌3月には再生手続廃止となり、翌4月に破産手続開始決定がなされた。
東京都知事は、A社がX社に不動産を著しく低い額の対価で譲渡したために、A社に対して滞納処分をしても、A社を滞納者とする都税に係る徴収金に不足することとなったと判断して、X社に対し、地方税法11条の8に基づき、第二次納税義務の納付告知をした(本件納付告知)。X社がその取消しを求めてY(東京都)を提訴したのが本件である。
最高裁は、X社の主張を認めた。
《関係図》
▷争点
地方税法11条の8にいう「滞納者の地方団体の徴収金につき滞納処分をしてもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合」とはどのような場合か。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。