〔事例で使える〕
中小企業会計指針・会計要領
《金銭債権-手形債権・電子記録債権》編
【第2回】
「電子記録債権」
公認会計士・税理士 前原 啓二
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はじめに
2008年12月から施行されている電子記録債権法に基づいて、従来の紙媒体である手形債権だけでなく、電子記録債権も手形債権の代替として機能しており、中小企業においても、特に大企業の取引先との決済から徐々に普及してきています。そこで今回は、電子記録債権の会計処理をご紹介します。
【設例2】
当社(12月31日決算)は、当期(X1年1月1日~X1年12月31日)に、次の取引を行いました。(1) X1年10月20日に、製品2,000,000円(税抜金額、消費税10%)を甲社に掛けで販売しました。
(2) X1年11月30日に(1)の代金について、販売先甲社がその取引銀行に電子記録債権2,200,000円(支払期日X2年2月28日)の発生記録を請求し、電子記録債権機関の記録原簿に発生記録が行われ、その通知を受けた当社の取引銀行から当社が甲社の電子記録債権の発生記録の通知を受けました。
(3) 当社が(2)の電子記録債権を支払期日前に譲渡しない場合
(3-1) 支払期日X2年2月28日に、(2)の電子記録債権2,200,000円が決済(甲社の銀行口座から引き落とされて当社の当座預金に2,200,000円振込)されました。
(4) 当社が(2)の電子記録債権を支払期日前に割引する場合
(4-1) 当社の取引銀行に電子記録債権の割引申込を行い、その電子記録債権の譲渡記録が請求されて、X1年12月15日に、電子債権記録機関の譲渡記録(保証記録も随伴)が行われ、その通知を受けた当社の取引銀行が審査の上、電子記録債権と引換えに割引料80,000円を差し引いた2,120,000円を当社の当座預金に入金しました。
(4-2) X1年12月31日決算日。
(4-3) その後、支払期日X2年2月28日に、(2)の電子記録債権2,200,000円が決済されました。
(5) 当社が(2)の電子記録債権を支払期日前に(手形裏書と同様の)譲渡をする場合として、当社の仕入先乙社に対する買掛金2,200,000円を(2)の電子記録債権と相殺するケース
(5-1) 当社の取引銀行に電子記録債権の譲渡記録を請求し、X1年12月20日に、電子債権記録機関の記録原簿に譲渡記録(保証記録も随伴)が行われ、その通知を受けた乙社の取引銀行から乙社へその譲渡記録が請求された旨を通知しました。これにより、当社の仕入先乙社に対する買掛金2,200,000円と相殺するために、電子記録債権2,200,000円の譲渡が成立しました。
(5-2) X1年12月31日決算日。
(5-3) その後、支払期日X2年2月28日に、(2)の電子記録債権2,200,000円が決済されました。
1 会計処理
上記(1)~(5-3)の仕訳等は、次のとおりです。
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