公開日: 2026/04/30 (掲載号:No.667)
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谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第57回】「「譲渡所得課税の趣旨」法理の「牽引力」の減退と復活・遮断(「どんでん返し」)」-借入金利子取得費控除[三輪田]事件・最判平成4年7月14日民集46巻5号492頁への「遠い道程」-

筆者: 谷口 勢津夫

谷口教授と学ぶ

税法基本判例

【第57回】

「「譲渡所得課税の趣旨」法理の「牽引力」の減退と復活・遮断(「どんでん返し」)」

-借入金利子取得費控除[三輪田]事件・最判平成4年7月14日民集46巻5号492頁への「遠い道程」-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

1 借入金利子の取得費算入の可否問題

前々回前回と2回にわたって「譲渡所得課税の趣旨」法理(最判昭和43年10月31日訟月14巻12号1442頁、最判昭和47年12月26日民集26巻10号2083頁、最判昭和50年5月27日民集29巻5号641頁等。学説では増加益清算課税説)を取り上げ、同法理の枠内における(譲渡所得の本質的意義(理論[包括的所得概念論]的意義)に基づく)譲渡所得課税❶と(譲渡所得の実定法的意義に基づく)譲渡所得課税❷との「競い合い」(「趣旨内競い合い」)の観点から、譲渡所得課税に関する判例を検討してきたが、その際には、譲渡所得の本質ないし譲渡所得課税の本質に着目して、譲渡所得課税❶の「先行」あるいは場合によっては「独走」を問題にしてきた。

これに対して、今回は、譲渡所得課税❷の側から、そのために行われる譲渡所得の金額の計算において総収入金額から控除される取得費(所税33条3項・38条)の概念に着目して、その意義をめぐる判例として借入金利子取得費控除[三輪田]事件・最判平成4年7月14日民集46巻5号492頁(以下「平成4年7月最判」という)を取り上げ、譲渡所得の基因となる資産の取得のための借入金に係る利子を取得費に算入し譲渡所得の金額の計算上総収入金額から控除することを認めるか否かの問題(以下「借入金利子の取得費算入の可否問題」という)を検討する。

借入金利子の取得費算入の可否が問題とされるようになった社会経済的背景については次のように述べられている(岩﨑政明「判批」月刊税務事例19巻12号(1987年)4頁、5-6頁)。

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税法基本判例

【第57回】

「「譲渡所得課税の趣旨」法理の「牽引力」の減退と復活・遮断(「どんでん返し」)」

-借入金利子取得費控除[三輪田]事件・最判平成4年7月14日民集46巻5号492頁への「遠い道程」-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

1 借入金利子の取得費算入の可否問題

前々回前回と2回にわたって「譲渡所得課税の趣旨」法理(最判昭和43年10月31日訟月14巻12号1442頁、最判昭和47年12月26日民集26巻10号2083頁、最判昭和50年5月27日民集29巻5号641頁等。学説では増加益清算課税説)を取り上げ、同法理の枠内における(譲渡所得の本質的意義(理論[包括的所得概念論]的意義)に基づく)譲渡所得課税❶と(譲渡所得の実定法的意義に基づく)譲渡所得課税❷との「競い合い」(「趣旨内競い合い」)の観点から、譲渡所得課税に関する判例を検討してきたが、その際には、譲渡所得の本質ないし譲渡所得課税の本質に着目して、譲渡所得課税❶の「先行」あるいは場合によっては「独走」を問題にしてきた。

これに対して、今回は、譲渡所得課税❷の側から、そのために行われる譲渡所得の金額の計算において総収入金額から控除される取得費(所税33条3項・38条)の概念に着目して、その意義をめぐる判例として借入金利子取得費控除[三輪田]事件・最判平成4年7月14日民集46巻5号492頁(以下「平成4年7月最判」という)を取り上げ、譲渡所得の基因となる資産の取得のための借入金に係る利子を取得費に算入し譲渡所得の金額の計算上総収入金額から控除することを認めるか否かの問題(以下「借入金利子の取得費算入の可否問題」という)を検討する。

借入金利子の取得費算入の可否が問題とされるようになった社会経済的背景については次のように述べられている(岩﨑政明「判批」月刊税務事例19巻12号(1987年)4頁、5-6頁)。

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連載目次

谷口教授と学ぶ「税法基本判例」

第1回~第20回

第21回~

筆者紹介

谷口 勢津夫

(たにぐち・せつお)

大阪学院大学法学部教授

1956年高知県生まれ。京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学。甲南大学法学部教授、大阪大学大学院高等司法研究科教授を経て2022年4月より現職。大阪大学名誉教授。ほかに大阪大学大学院高等司法研究科長・大阪大学法務室長、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員(Forschungsstipendiat der Alexander von Humboldt-Stiftung)・ミュンヘン大学客員研究員、日本税法学会理事長、租税法学会理事、IFA(International Fiscal Association)日本支部理事、資産評価政策学会理事、司法試験考査委員、公認会計士試験試験委員、独立行政法人造幣局契約監視委員会委員・委員長、大阪府収用委員会委員・会長、大阪府行政不服審査会委員・会長、公益財団法人日本税務研究センター評議員・同センター理事・同センター「日税研究賞」選考委員・同センター編集委員会委員、公益財団法人納税協会連合会「税に関する論文」選考委員、公益社団法人商事法務研究会「商事法務研究会賞」審査委員、近畿税理士会・近畿税務研究センター顧問など(一部現職。ほか歴任)。

主要著書は『租税条約論』(清文社・1999年)、『租税回避論』(清文社・2014年)、『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(共著・ミネルヴァ書房・2015年)、『税法の基礎理論』(清文社・2021年)、『税法創造論』(清文社・2022年)、『税法基本判例Ⅰ』(清文社・2023年)、『基礎から学べる租税法〔第4版〕』(共著・弘文堂・2025年)、『税法基本講義〔第8版〕』(弘文堂・2025年)、『税法基本判例Ⅱ』(清文社・2025年)など。
 
   

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