公開日: 2016/05/12 (掲載号:No.168)
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さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第13回】「未登記新築建物固定資産税等賦課事件」~最判平成26年9月25日(民集68巻7号722頁)~

筆者: 菊田 雅裕

さっと読める!

実務必須の

[重要税務判例]

【第13回】

「未登記新築建物固定資産税等賦課事件」

~最判平成26年9月25日(民集68巻7号722頁)~

 

弁護士 菊田 雅裕

 

-本連載の趣旨-

本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。

税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。

本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。

このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。

なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。

▷今回の題材

未登記新築建物固定資産税等賦課事件

最判平成26年9月25日(民集68巻7号722頁)

《概要》

今回紹介する判例は、Xが平成21年中にY市内に新築した建物(本件建物)につき、翌平成22年1月1日時点では、登記簿にも家屋補充課税台帳(登記されていない家屋で、固定資産税を課税することができるものについて、所要の事項を登録する台帳)にもXが所有者として登記又は登録されていなかったところ、Y市長が、本件建物についての所要の事項を家屋補充課税台帳に登録した上、平成22年度の固定資産税等の賦課決定処分(本件処分)を行ったという事例について判断したものである。

最高裁は、本件処分は適法であると判断した。

《関係図》

X ①H21.12.7:建物新築 ②H22.10.8:①を登記原因とする表題登記 ③H22.12.1:H22度の家屋補充課税台帳に建築年月をH21.12.7などとする所要事項の登録 ④H22.12.1:H22度の固定資産税等の賦課決定処分 ⑤異議申立て(棄却) Y市長

▷争点

固定資産税等の賦課期日(本件では平成22年1月1日)において登記簿又は家屋補充課税台帳に登記又は登録されていなかった建物が、賦課決定処分時までに登記又は登録された場合、その際に賦課期日現在の所有者として登記又は登録されたXは、当該賦課期日に係る年度(本件では平成22年度)における固定資産税等の納税義務を負うか。

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[重要税務判例]

【第13回】

「未登記新築建物固定資産税等賦課事件」

~最判平成26年9月25日(民集68巻7号722頁)~

 

弁護士 菊田 雅裕

 

-本連載の趣旨-

本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。

税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。

本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。

このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。

なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。

▷今回の題材

未登記新築建物固定資産税等賦課事件

最判平成26年9月25日(民集68巻7号722頁)

《概要》

今回紹介する判例は、Xが平成21年中にY市内に新築した建物(本件建物)につき、翌平成22年1月1日時点では、登記簿にも家屋補充課税台帳(登記されていない家屋で、固定資産税を課税することができるものについて、所要の事項を登録する台帳)にもXが所有者として登記又は登録されていなかったところ、Y市長が、本件建物についての所要の事項を家屋補充課税台帳に登録した上、平成22年度の固定資産税等の賦課決定処分(本件処分)を行ったという事例について判断したものである。

最高裁は、本件処分は適法であると判断した。

《関係図》

X ①H21.12.7:建物新築 ②H22.10.8:①を登記原因とする表題登記 ③H22.12.1:H22度の家屋補充課税台帳に建築年月をH21.12.7などとする所要事項の登録 ④H22.12.1:H22度の固定資産税等の賦課決定処分 ⑤異議申立て(棄却) Y市長

▷争点

固定資産税等の賦課期日(本件では平成22年1月1日)において登記簿又は家屋補充課税台帳に登記又は登録されていなかった建物が、賦課決定処分時までに登記又は登録された場合、その際に賦課期日現在の所有者として登記又は登録されたXは、当該賦課期日に係る年度(本件では平成22年度)における固定資産税等の納税義務を負うか。

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連載目次

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例]

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第1回~第90回

筆者紹介

菊田 雅裕

(きくた・まさひろ)

弁護士
横浜よつば法律税務事務所

【略歴】
・平成13年 東京大学法学部卒業
・平成16年 司法試験合格
・平成18年 弁護士登録
・平成23~25年 福岡国税不服審判所 国税審判官
・平成25~26年 東京国税不服審判所 国税審判官

【著書】
さっと読める!実務必須の重要税務判例70』(清文社、2021年)

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