公開日: 2023/07/13 (掲載号:No.527)
文字サイズ

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第88回】「神奈川県臨時特例企業税事件」~最判平成25年3月21日(民集67巻3号438頁)~

筆者: 菊田 雅裕

さっと読める!

実務必須の

[重要税務判例]

【第88回】

「神奈川県臨時特例企業税事件」

~最判平成25年3月21日(民集67巻3号438頁)~

 

弁護士 菊田 雅裕

 

-本連載の趣旨-

本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。

税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。

本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。

このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。

なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。

▷今回の題材

神奈川県臨時特例企業税事件

最判平成25年3月21日(民集67巻3号438頁)

《概要》

Y県は、平成13年3月、臨時特例企業税条例(本件条例)を制定・施行し、県内に事務所等を有する資本金5億円以上の法人に特例企業税を課することとした。X社は、Y県内に工場を有する資本金5億円以上の株式会社であり、特例企業税の納付義務が生じる要件を満たしていたため、平成15・16事業年度につき所定の特例企業税を申告・納付した。しかし、その後、X社は、Y県に対し、本件条例は、法人事業税の課税標準である所得の金額の計算につき欠損金の繰越控除を定めた地方税法の規定に違反し、違法、無効であると主張して、納付した特例企業税に相当する金額の還付・還付加算金の支払を求める訴訟を提起した。

最高裁は、X社の主張を認めた。

《関係図》

▷争点

本件条例は、地方税法の規定に違反し、違法、無効か。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

さっと読める!

実務必須の

[重要税務判例]

【第88回】

「神奈川県臨時特例企業税事件」

~最判平成25年3月21日(民集67巻3号438頁)~

 

弁護士 菊田 雅裕

 

-本連載の趣旨-

本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。

税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。

本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。

このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。

なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。

▷今回の題材

神奈川県臨時特例企業税事件

最判平成25年3月21日(民集67巻3号438頁)

《概要》

Y県は、平成13年3月、臨時特例企業税条例(本件条例)を制定・施行し、県内に事務所等を有する資本金5億円以上の法人に特例企業税を課することとした。X社は、Y県内に工場を有する資本金5億円以上の株式会社であり、特例企業税の納付義務が生じる要件を満たしていたため、平成15・16事業年度につき所定の特例企業税を申告・納付した。しかし、その後、X社は、Y県に対し、本件条例は、法人事業税の課税標準である所得の金額の計算につき欠損金の繰越控除を定めた地方税法の規定に違反し、違法、無効であると主張して、納付した特例企業税に相当する金額の還付・還付加算金の支払を求める訴訟を提起した。

最高裁は、X社の主張を認めた。

《関係図》

▷争点

本件条例は、地方税法の規定に違反し、違法、無効か。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例]

連載が単行本になりました!!
くわしくは[こちら

第1回~第90回

筆者紹介

菊田 雅裕

(きくた・まさひろ)

弁護士
横浜よつば法律税務事務所

【略歴】
・平成13年 東京大学法学部卒業
・平成16年 司法試験合格
・平成18年 弁護士登録
・平成23~25年 福岡国税不服審判所 国税審判官
・平成25~26年 東京国税不服審判所 国税審判官

【著書】
さっと読める!実務必須の重要税務判例70』(清文社、2021年)

関連書籍

法人税事例選集

公認会計士・税理士 森田政夫 共著 公認会計士・税理士 西尾宇一郎 共著

地方税取扱いの手引

地方税制度研究会 編

【電子書籍版】税務・労務ハンドブック

公認会計士・税理士 菊地 弘 著 公認会計士・税理士 井村 奨 著 税理士 山口光晴 著 特定社会保険労務士 佐竹康男 著 特定社会保険労務士 井村佐都美 著

重点解説 法人税申告の実務

公認会計士・税理士 鈴木基史 著

税務・労務ハンドブック

公認会計士・税理士 菊地 弘 著 公認会計士・税理士 井村 奨 著 税理士 山口光晴 著 特定社会保険労務士 佐竹康男 著 特定社会保険労務士 井村佐都美 著

令和6年度版 税務コンパクトブック

株式会社プロフェッションネットワーク 編著

【電子書籍版】令和6年度版 税務コンパクトブック

株式会社プロフェッションネットワーク 編著

【紙書籍+電子[1ID]セット版】令和6年度版 税務コンパクトブック

株式会社プロフェッションネットワーク 編著

演習法人税法

公益社団法人 全国経理教育協会 編

【電子書籍版】法人税事例選集

公認会計士・税理士 森田政夫 共著 公認会計士・税理士 西尾宇一郎 共著

事例で解説 法人税の損金経理

税理士 安部和彦 著

税法基本判例 Ⅰ

谷口勢津夫 著

社長!税務調査の事前対策してますか

公認会計士・税理士 清原裕平 著

実務必須の重要税務判例70

弁護士 菊田雅裕 著

国税調査の舞台裏

税理士 小倉敏郎 著

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#