公開日: 2021/12/02 (掲載号:No.447)
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租税争訟レポート 【第58回】「居住用不動産の売買取引に係る課税仕入れの区分(控訴審:東京高等裁判所令和3年7月29日判決(第一審:東京地方裁判所令和2年9月3日判決))」

筆者: 米澤 勝

租税争訟レポート

【第58回】

「居住用不動産の売買取引に係る課税仕入れの区分
(控訴審:東京高等裁判所令和3年7月29日判決
(第一審:東京地方裁判所令和2年9月3日判決))」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【判決の概要】

〈控訴審〉

東京高等裁判所令和3年7月29日判決
令和2年(行コ)第190号消費税及び地方消費税更正処分等取消請求事件
TAINSコード:Z888-2366

[控訴人(第一審被告)]


処分行政庁:麹町税務署長

[被控訴人(第一審原告)]

株式会社エー・ディー・ワークス
(以下「ADワークス」と略称することがある)

[争点]

(1) 本件各課税仕入れの用途区分〔争点1〕

(2) 平等取扱原則違反の有無〔争点2〕

(3) 国税通則法65条4項にいう「正当な理由」の有無〔争点3〕

[判決]

原判決取消し
被控訴人の請求棄却(納税者敗訴)(被控訴人上告受理申立て)

〈第一審〉

東京地方裁判所令和2年9月3日判決(※)
平成30年(行ウ)第559号消費税及び地方消費税更正処分等取消請求事件
TAINSコード:Z888-2312

[原告]

ADワークス

[被告]


処分行政庁:麹町税務署長

[争点]

(1) 本件各更正処分の適法性に関し

 本件各課税仕入れの用途区分(本件各課税仕入れが課税対応課税仕入れと共通対応課税仕入れのいずれに区分されるべきものであるか)〔争点1〕

 平等取扱原則違反の有無〔争点2〕

(2) 本件各賦課決定処分の適法性に関し

国税通則法65条4項にいう「正当な理由」の有無〔争点3〕

[判決]

全部取消し(納税者勝訴)(被告控訴)

(※) 詳細は本連載【第53回】を参照。

 

【事案の概要】

不動産の売買及び仲介業務等を目的とする株式会社である原告は、平成27年3月期から平成29年3月期までの各課税期間において、将来の転売を目的としてマンション84棟(その一部又は全部が住宅として貸し付けられているもの。以下「本件各マンション」という)を購入した。

本件各マンションの購入は、消費税法2条12号に定める課税仕入れに当たるところ、原告は、各課税期間に係る消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)の確定申告において、本件各課税仕入れが同法30条2項1号にいう「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」(課税対応課税仕入れ)に区分されるとして、本件各課税仕入れに係る消費税額の全額を当該課税期間に係る課税標準額に対する消費税額から控除して申告を行った。

これに対し、麹町税務署長(処分行政庁)は、本件各課税仕入れは同号にいう「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」(共通対応課税仕入れ)に区分すべきものであるから、本件各課税仕入れに係る消費税額の一部しか控除することができないとして、平成30年7月30日付けで、原告に対し、各課税期間に係る消費税等の各更正処分及びこれらに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分をした。

本件は、原告が、被告を相手に、本件各更正処分のうち申告額を超える部分及び本件各賦課決定処分の取消しを求める事案である。

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【第58回】

「居住用不動産の売買取引に係る課税仕入れの区分
(控訴審:東京高等裁判所令和3年7月29日判決
(第一審:東京地方裁判所令和2年9月3日判決))」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【判決の概要】

〈控訴審〉

東京高等裁判所令和3年7月29日判決
令和2年(行コ)第190号消費税及び地方消費税更正処分等取消請求事件
TAINSコード:Z888-2366

[控訴人(第一審被告)]


処分行政庁:麹町税務署長

[被控訴人(第一審原告)]

株式会社エー・ディー・ワークス
(以下「ADワークス」と略称することがある)

[争点]

(1) 本件各課税仕入れの用途区分〔争点1〕

(2) 平等取扱原則違反の有無〔争点2〕

(3) 国税通則法65条4項にいう「正当な理由」の有無〔争点3〕

[判決]

原判決取消し
被控訴人の請求棄却(納税者敗訴)(被控訴人上告受理申立て)

〈第一審〉

東京地方裁判所令和2年9月3日判決(※)
平成30年(行ウ)第559号消費税及び地方消費税更正処分等取消請求事件
TAINSコード:Z888-2312

[原告]

ADワークス

[被告]


処分行政庁:麹町税務署長

[争点]

(1) 本件各更正処分の適法性に関し

 本件各課税仕入れの用途区分(本件各課税仕入れが課税対応課税仕入れと共通対応課税仕入れのいずれに区分されるべきものであるか)〔争点1〕

 平等取扱原則違反の有無〔争点2〕

(2) 本件各賦課決定処分の適法性に関し

国税通則法65条4項にいう「正当な理由」の有無〔争点3〕

[判決]

全部取消し(納税者勝訴)(被告控訴)

(※) 詳細は本連載【第53回】を参照。

 

【事案の概要】

不動産の売買及び仲介業務等を目的とする株式会社である原告は、平成27年3月期から平成29年3月期までの各課税期間において、将来の転売を目的としてマンション84棟(その一部又は全部が住宅として貸し付けられているもの。以下「本件各マンション」という)を購入した。

本件各マンションの購入は、消費税法2条12号に定める課税仕入れに当たるところ、原告は、各課税期間に係る消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)の確定申告において、本件各課税仕入れが同法30条2項1号にいう「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」(課税対応課税仕入れ)に区分されるとして、本件各課税仕入れに係る消費税額の全額を当該課税期間に係る課税標準額に対する消費税額から控除して申告を行った。

これに対し、麹町税務署長(処分行政庁)は、本件各課税仕入れは同号にいう「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」(共通対応課税仕入れ)に区分すべきものであるから、本件各課税仕入れに係る消費税額の一部しか控除することができないとして、平成30年7月30日付けで、原告に対し、各課税期間に係る消費税等の各更正処分及びこれらに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分をした。

本件は、原告が、被告を相手に、本件各更正処分のうち申告額を超える部分及び本件各賦課決定処分の取消しを求める事案である。

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連載目次

租税争訟レポート

第1回~第30回

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

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