租税争訟レポート
【第69回】
「税理士損害賠償請求事件~賠償額制限条項適用の有無
(福岡地方裁判所令和5年6月21日判決)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【判決の概要】
福岡地方裁判所令和5年6月21日判決
福岡地方裁判所令和2年(ワ)第2129号
損害賠償請求事件
TAINSコード:Z999-0182
[原告]
国内外の企業に対する経営コンサルティング事業、遊漁船の経営等を目的とする株式会社
[被告]
原告の顧問税理士
[争点]
(1) 原告が「課税資産の譲渡等を行う事業者」に該当するか〔争点1〕
(2) 原告がベリーズ国に本店を置く株式会社であるA(Inc.)から受託したコンサルタント業務が輸出免税取引に該当するか〔争点2〕
(3) 被告の善管注意義務違反の有無〔争点3〕
(4) 原告に生じた損害の有無及び額並びに因果関係〔争点4〕
(5) 本件賠償額制限条項の適用の有無〔争点5〕
[判決]
一部認容・一部棄却(確定)
【事案の概要】
本件は、原告代表者が100%出資して平成27年2月16日に設立した、国内外の企業に対する経営コンサルティング事業、遊漁船の経営等を目的とする資本金300万円の株式会社である原告が、税理士である被告に消費税及び法人税の申告に関する事務処理を委任し、被告の指導・助言に従って4事業年度にわたり消費税の申告をしたところ、①課税事業者を選択した方が原告に有利であったのに免税事業者としたこと及び②本則課税のままであった方が原告に有利であったのに簡易課税事業者を選択したことにより、納付する必要のない消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)を納めることになり、消費税等の還付を受けることができたのにこれを受けられなかったなどと主張して、被告に対し、民法415条の債務不履行又は同法709条の不法行為に基づき、損害賠償金合計605万3,951円及びこれに対する令和元年6月19日(催告日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
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