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実務必須の
[重要税務判例]
【第71回】
「クラヴィス事件」
~最判令和2年7月2日(民集74巻4号1030頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
クラヴィス事件
最判令和2年7月2日(民集74巻4号1030頁)
《概要》
消費者金融業者であるA社は、平成7年から17年までの各事業年度につき、当該各事業年度において支払を受けた制限超過利息を益金の額に算入して、法人税の確定申告をしていた。
ところが、平成18年に、いわゆるみなし弁済規定の適用をほぼ否定する最高裁判決がなされたことから、その後過払金の返還に追われて資金繰りが悪化し、平成24年に破産するに至った。
破産手続の過程において、A社に対する過払金返還請求権(不当利得返還請求権)が破産債権として確定したことを受け、A社の破産管財人Xは、上記各事業年度において益金の額に算入した金額を修正すべきであるとして、Y´税務署長に対し、更正の請求をした。
ところが、Y´税務署長は、Xに対し、いずれについても更正すべき理由がない旨の通知処分をした。そこで、Xは、当該各通知処分の取消を求めて出訴した。しかし、最高裁判所は、Xの主張を認めなかった。
《関係図》
▷争点
法人が、支払を受けた制限超過利息を益金の額に算入して法人税の確定申告をしたものの、その後、当該制限超過利息についての顧客からの不当利得返還請求権が破産債権として確定した場合に、当該制限超過利息の支払を受けた事業年度の益金の額を減額する処理をすることは許されるか。
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