さっと読める!
実務必須の
[重要税務判例]
【第34回】
「NTTドコモ事件」
~最判平成20年9月16日(民集62巻8号2089頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
NTTドコモ事件
(最判平成20年9月16日(民集62巻8号2089頁))
《概要》
X社、A社、B社は、同グループに属する通信事業者である。A社はPHS(簡易型携帯電話)事業を営んでいて、A社のPHS回線とB社の電話網を、B社所有のエントランス回線を利用して接続することによって、PHS端末利用者に通話サービスを提供していた。この回線の設置に当たってのA社の負担金は1回線当たり7万2,800円で、回線数は15万回線であった。
X社は、A社からその事業の譲渡を受けることとし、A社に対し、エントランス回線利用権譲渡の対価として、1回線当たり7万2,800円を支払った。
X社は、該当事業年度の法人税の確定申告に当たり、個別のエントランス回線利用権をそれぞれ少額減価償却資産(旧法人税法施行令133条)として、取得価額の全額を損金に算入した。これに対し、Y税務署長は、同利用権は少額減価償却資産に該当しないとして、更正処分を行った。これを不服としてXが出訴した。
最高裁は、Xの主張を認めた。
《関係図》
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。