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実務必須の
[重要税務判例]
【第81回】
「譲渡担保と不動産取得税事件」
~最判昭和48年11月16日(民集27巻10号1333頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
譲渡担保と不動産取得税事件
最判昭和48年11月16日(民集27巻10号1333頁)
《概要》
X信用金庫(X信金)は、A社に対して事業資金を貸し付けた上、当該貸金債権を担保するため、A社との間で譲渡担保契約を締結し、A社所有の不動産につき、譲渡担保を原因とする所有権移転登記を経由した。
Y都税事務所長は、当該不動産につき、A社からX信金への所有権移転登記が経由されていることから、地方税法にいう「不動産の取得」が行われたものとして、X信金に対し、不動産取得税の賦課処分をした。
X信金は、これを不服として、当該賦課処分の取消請求訴訟を提起した。最高裁は、X信金の主張を認めなかった。
《関係図》
▷争点
1 譲渡担保による不動産の取得は、昭和36年改正前の地方税法73条の2第1項の「不動産の取得」に該当し、不動産取得税の課税対象となるか。
2 譲渡担保による不動産の取得について、昭和36年改正前の地方税法73条の7(相続・法人の合併等の場合における形式的な不動産所有権の移転等の際に、不動産取得税を非課税とする規定)第3号を類推適用し、不動産取得税を非課税とすることはできるか。
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