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実務必須の
[重要税務判例]
【第39回】
「南九州コカ・コーラボトリング事件」
~最判平成21年7月10日(民集63巻6号1092頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
南九州コカ・コーラボトリング事件
(最判平成21年7月10日(民集63巻6号1092頁))
《概要》
X社は、法人税法68条1項の規定を適用して、支払を受けた配当等に対して課された所得税額を控除するに当たり、いわゆる銘柄別簡便法により計算した。しかし、その際に計算を誤り、控除額が過少なまま法人税の確定申告をするに至った。
X社は、これを訂正すべく、Y税務署長に対し更正の請求を行ったが、Y税務署長は、X社に対し、更正すべき理由がない旨の通知をした。そこで、X社は、その取消しを求め提訴した。
なお、Y税務署長は、X社の提訴後、別の理由により増額更正を行ったので(X社の上記主張は認めない内容)、X社は、訴えの変更を行い、更正処分の取消しを求めることとなった。
最高裁は、X社の主張を認め、更正処分を取り消した。
《関係図》
▷争点
旧法人税法68条3項(現4項)では、控除されるべき金額は確定申告書に記載された金額が限度となる旨規定されているが、いったん金額を記載したら是正はできないのか。できるとしたらどのような場合か。
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