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実務必須の
[重要税務判例]
【第47回】
「まからずや事件」
~最判昭和42年9月19日(民集21巻7号1828頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
まからずや事件
(最判昭和42年9月19日(民集21巻7号1828頁))
《概要》
X社は、青色申告書による申告の承認を受けていた。X社は、ある事業年度につき、所得を106万円として法人税の確定申告をした。Y税務署長は、X社からその代表者への借地権の贈与があったなどと認め、所得は242万円であるとして更正処分を行った(第1次更正処分)。なお、更正通知書の更正の理由の欄には、「寄附金127万円」とあるのみだった。
X社は、認定された所得金額に誤りがあり、更正の具体的根拠も明示されていないとして、第1次更正処分の取消しを求めて提訴した。訴訟係属中、Y税務署長は、更正通知書の附記理由に不備があることを認め、これを是正するため、いったん、所得金額や税額等は確定申告書どおりであるとする再更正処分をし(第2次更正処分)、さらに、更正の具体的根拠を明示しつつ所得金額や税額等は第1次更正処分と同様とする再々更正処分をした(第3次更正処分)。そして、この2件の更正処分の通知書を、1通の封筒に同封して、Xに送付した。
そのうえで、Y税務署長は、訴訟において、第1次更正処分は第2次更正処分により取り消されているから、第1次更正処分の取消しを求める訴えの利益はないと主張した。最高裁も、このYの主張を認めた。
《関係図》
▷争点
第1次更正処分の取消しを求める訴訟の係属中に、第1次更正処分の瑕疵を是正するための更正(第2次更正処分)と、改めての更正(第3次更正処分)が行われた場合、 第1次更正処分の取消しを求める当初の請求につき、訴えの利益はあるか。
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