公開日: 2019/02/14 (掲載号:No.306)
文字サイズ

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第44回】「サンヨウメリヤス土地賃借事件」~最判昭和45年10月23日(民集24巻11号1617頁)~

筆者: 菊田 雅裕

さっと読める!

実務必須の

[重要税務判例]

【第44回】

「サンヨウメリヤス土地賃借事件」

~最判昭和45年10月23日(民集24巻11号1617頁)~

 

弁護士 菊田 雅裕

 

-本連載の趣旨-

本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。

税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。

本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。

このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。

なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。

▷今回の題材

サンヨウメリヤス土地賃借事件

(最判昭和45年10月23日(民集24巻11号1617頁))

《概要》

Xは、自身が代表取締役を務めるA株式会社に対し、自己所有の土地(50坪)を、建物所有を目的とし、期間20年、賃料1ヶ月1,000円で賃貸した。その際、Xは、A株式会社から、権利金100万円(更地価格の3分の2相当)を受領した。

Xは、この権利金100万円は譲渡所得に当たるとして所得税の確定申告をしたが、所轄税務署長は、当該権利金は不動産取得に当たるとして更正処分をした。Xはこれを不服として争ったが、最終的にY国税局長がXの審査請求を棄却したので、Xが、その取消しを求めて出訴した。

最高裁は、本件の権利金の性質を確定することなく譲渡所得と解した原審には、審理不尽の違法があるとして、高裁判決を破棄し差し戻した。なお、差戻控訴審は、本件の権利金の性質について検討した上で、不動産取得に当たるとして、Xの請求を棄却した。

《関係図》

▷争点

本件の権利金は譲渡所得に該当するか。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

さっと読める!

実務必須の

[重要税務判例]

【第44回】

「サンヨウメリヤス土地賃借事件」

~最判昭和45年10月23日(民集24巻11号1617頁)~

 

弁護士 菊田 雅裕

 

-本連載の趣旨-

本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。

税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。

本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。

このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。

なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。

▷今回の題材

サンヨウメリヤス土地賃借事件

(最判昭和45年10月23日(民集24巻11号1617頁))

《概要》

Xは、自身が代表取締役を務めるA株式会社に対し、自己所有の土地(50坪)を、建物所有を目的とし、期間20年、賃料1ヶ月1,000円で賃貸した。その際、Xは、A株式会社から、権利金100万円(更地価格の3分の2相当)を受領した。

Xは、この権利金100万円は譲渡所得に当たるとして所得税の確定申告をしたが、所轄税務署長は、当該権利金は不動産取得に当たるとして更正処分をした。Xはこれを不服として争ったが、最終的にY国税局長がXの審査請求を棄却したので、Xが、その取消しを求めて出訴した。

最高裁は、本件の権利金の性質を確定することなく譲渡所得と解した原審には、審理不尽の違法があるとして、高裁判決を破棄し差し戻した。なお、差戻控訴審は、本件の権利金の性質について検討した上で、不動産取得に当たるとして、Xの請求を棄却した。

《関係図》

▷争点

本件の権利金は譲渡所得に該当するか。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例]

連載が単行本になりました!!
くわしくは[こちら

第1回~第90回

筆者紹介

菊田 雅裕

(きくた・まさひろ)

弁護士
横浜よつば法律税務事務所

【略歴】
・平成13年 東京大学法学部卒業
・平成16年 司法試験合格
・平成18年 弁護士登録
・平成23~25年 福岡国税不服審判所 国税審判官
・平成25~26年 東京国税不服審判所 国税審判官

【著書】
さっと読める!実務必須の重要税務判例70』(清文社、2021年)

関連書籍

資産税実務問答集

井上浩二 編 信永 弘 編

「税関の税務調査」と消費税の更正の請求

税理士 八ッ尾順一 監修 税理士 杉澤雄一 著

【電子書籍版】資産税実務問答集

後藤幸泰 編 信永 弘 編

事例で解説 法人税の損金経理

税理士 安部和彦 著

〇×判定ですぐわかる資産税の実務

公益財団法人 納税協会連合会 編集部 編

税法基本判例 Ⅰ

谷口勢津夫 著

社長!税務調査の事前対策してますか

公認会計士・税理士 清原裕平 著

Q&A 居住用財産の譲渡特例大全

税理士 大久保昭佳 著

税法みなし規定の適用解釈と税務判断

税理士 野田扇三郎 著 税理士 山内利文 著 税理士 安藤孝夫 著 税理士 三木信博 著

あなたが払う税金はざっくり言ってこれくらい

やさか税理士法人 税理士 磯山仁志 著

実務必須の重要税務判例70

弁護士 菊田雅裕 著

国税調査の舞台裏

税理士 小倉敏郎 著

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#