公開日: 2020/04/02 (掲載号:No.363)
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租税争訟レポート 【第48回】「居住者の認定を巡る無申告加算税・不納付加算税賦課決定処分と納税告知処分(第一審:東京地方裁判所2019(令和1)年5月30日判決、控訴審:東京高等裁判所2019(令和1)年11月27日判決)」

筆者: 米澤 勝

租税争訟レポート

【第48回】

「居住者の認定を巡る無申告加算税・不納付加算税賦課決定処分と納税告知処分
(第一審:東京地方裁判所2019(令和1)年5月30日判決、控訴審:東京高等裁判所2019(令和1)年11月27日判決)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【判決の概要】

〈第一審〉

東京地方裁判所令和1年5月30日判決
更正すべき理由がない旨の通知処分取消等・源泉所得税納税告知処分取消等請求事件
TAINSコード:Z888-2256

[原告]

第1事件:原告B社
第2事件:原告A
第3事件:原告C社

[被告]


処分行政庁:名古屋中税務署、昭和税務署

[争点]

(1) 原告Aが本件各年において居住者に該当するか否か。

(2) 国税通則法66条1項ただし書及び同法67条1項ただし書に定める「正当な理由」の有無、各支給額は原告代表者に対する役員給与に該当するか。

[判決]

各処分の全部取消し(納税者勝訴)(被告控訴)

〈控訴審〉

東京高等裁判所令和1年11月27日判決
更正すべき理由がない旨の通知処分取消等・源泉所得税納税告知処分取消等請求事件
TAINSコード:Z888-2283

[控訴人](第一審被告)


処分行政庁:名古屋中税務署、昭和税務署

[被控訴人](第一審原告)

第1事件:原告B社
第2事件:原告A
第3事件:原告C社

[争点]

第一審原告Aが本件各年において居住者に該当するか否か。

[判決]

棄却(納税者勝訴)、確定

【お断り】

TAINS所収の判決文(情報公開法第9条第1項による開示情報)では、原告の名前がそれぞれ不開示とされ、■■、■■■、■■■■となっているため、本稿では、便宜上、非居住者であることを主張する納税者を原告A、原告Aに対し、役員報酬を支払う際の源泉所得税について不納付加算税の賦課決定処分を受けた法人を、それぞれ、原告B社及び原告C社と呼称することで統一した。

 

【事案の概要】

本件は、下記の第1事件及び第3事件について、原告B社及び原告C社が、各納税告知処分及び第1・3事件各賦課決定処分の取消しを求め、第2事件について、原告Aが各通知処分及び第2事件各賦課決定処分の取消しを求める事案である。

1 第2事件

原告Aは、自らが所得税法2条1項5号の「非居住者」に該当するとの認識のもと、平成21年分から平成24年分について、いずれも確定申告期限までに所得税の申告をしなかったところ、同項3号の「居住者」に該当するとして所轄税務署長から期限後申告を勧奨されたため、各年分の所得税について期限後申告を行った上で、平成23年及び平成24年分の所得税について更正の請求をしたが、所轄税務署長から、いずれも更正をすべき理由がない旨の通知を受け、さらに、各年分の所得税の無申告加算税に係る賦課決定処分を受けた。

2 第1事件及び第3事件

原告Aが代表取締役を務める原告B社及び原告C社は、原告Aに対して支払った役員報酬について、原告Aが同項5号の「非居住者」に該当するとの前提で所得税を源泉徴収して納付していたところ、所轄税務署長から、原告Aが同項3号の「居住者」に該当するとして、平成21年11月から平成24年12月までの各月分の源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分(以下「第1・3事件各賦課決定処分」という)を受けた。

 

【原告Aについて】

1 原告Aの国別滞在状況

判決別紙にまとめられた原告Aの国別滞在日数は、次のとおりである。本件で争点となっているいずれの年においても、日本での滞在日数は2分の1を下回っている。

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租税争訟レポート

【第48回】

「居住者の認定を巡る無申告加算税・不納付加算税賦課決定処分と納税告知処分
(第一審:東京地方裁判所2019(令和1)年5月30日判決、控訴審:東京高等裁判所2019(令和1)年11月27日判決)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【判決の概要】

〈第一審〉

東京地方裁判所令和1年5月30日判決
更正すべき理由がない旨の通知処分取消等・源泉所得税納税告知処分取消等請求事件
TAINSコード:Z888-2256

[原告]

第1事件:原告B社
第2事件:原告A
第3事件:原告C社

[被告]


処分行政庁:名古屋中税務署、昭和税務署

[争点]

(1) 原告Aが本件各年において居住者に該当するか否か。

(2) 国税通則法66条1項ただし書及び同法67条1項ただし書に定める「正当な理由」の有無、各支給額は原告代表者に対する役員給与に該当するか。

[判決]

各処分の全部取消し(納税者勝訴)(被告控訴)

〈控訴審〉

東京高等裁判所令和1年11月27日判決
更正すべき理由がない旨の通知処分取消等・源泉所得税納税告知処分取消等請求事件
TAINSコード:Z888-2283

[控訴人](第一審被告)


処分行政庁:名古屋中税務署、昭和税務署

[被控訴人](第一審原告)

第1事件:原告B社
第2事件:原告A
第3事件:原告C社

[争点]

第一審原告Aが本件各年において居住者に該当するか否か。

[判決]

棄却(納税者勝訴)、確定

【お断り】

TAINS所収の判決文(情報公開法第9条第1項による開示情報)では、原告の名前がそれぞれ不開示とされ、■■、■■■、■■■■となっているため、本稿では、便宜上、非居住者であることを主張する納税者を原告A、原告Aに対し、役員報酬を支払う際の源泉所得税について不納付加算税の賦課決定処分を受けた法人を、それぞれ、原告B社及び原告C社と呼称することで統一した。

 

【事案の概要】

本件は、下記の第1事件及び第3事件について、原告B社及び原告C社が、各納税告知処分及び第1・3事件各賦課決定処分の取消しを求め、第2事件について、原告Aが各通知処分及び第2事件各賦課決定処分の取消しを求める事案である。

1 第2事件

原告Aは、自らが所得税法2条1項5号の「非居住者」に該当するとの認識のもと、平成21年分から平成24年分について、いずれも確定申告期限までに所得税の申告をしなかったところ、同項3号の「居住者」に該当するとして所轄税務署長から期限後申告を勧奨されたため、各年分の所得税について期限後申告を行った上で、平成23年及び平成24年分の所得税について更正の請求をしたが、所轄税務署長から、いずれも更正をすべき理由がない旨の通知を受け、さらに、各年分の所得税の無申告加算税に係る賦課決定処分を受けた。

2 第1事件及び第3事件

原告Aが代表取締役を務める原告B社及び原告C社は、原告Aに対して支払った役員報酬について、原告Aが同項5号の「非居住者」に該当するとの前提で所得税を源泉徴収して納付していたところ、所轄税務署長から、原告Aが同項3号の「居住者」に該当するとして、平成21年11月から平成24年12月までの各月分の源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分(以下「第1・3事件各賦課決定処分」という)を受けた。

 

【原告Aについて】

1 原告Aの国別滞在状況

判決別紙にまとめられた原告Aの国別滞在日数は、次のとおりである。本件で争点となっているいずれの年においても、日本での滞在日数は2分の1を下回っている。

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連載目次

租税争訟レポート

第1回~第60回

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

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