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実務必須の
[重要税務判例]
【第58回】
「りんご生産組合事件」
~最判平成13年7月13日(集民202号673頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
りんご生産組合事件
最判平成13年7月13日(集民202号673頁)
《概要》
A組合は、りんごの生産等を行うために設立された、民法上の組合である。A組合では、過去の経緯から、「管理者」(非組合員)がりんごの生産指導を行い、雇用された「一般作業員」(多くは非組合員)と、管理者の補助をしつつ一般作業員と共に作業もする「専従者」(組合員)とが、りんごの生産作業を行う体制となっていた。
Xは、A組合の組合員であり、A組合の総会で専従者に選任されていた。なお、管理者及び専従者の労賃は、労務費として計上されていた。
Xは、A組合から受け取った労賃は給与所得に該当するものとして、所得税の確定申告をしたが、Y税務署長は、当該労賃は事業所得に該当するとして、更正処分を行った。Xがこれを争ったのが、本件である。
《関係図》
▷争点
本件でXに支払われた労賃は、給与所得に該当するか、事業所得に該当するか。
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