租税争訟レポート
【第56回】
「事業所得の意義~大学名誉教授が執筆した原稿料の所得区分
(国税不服審判所令和元年6月14日裁決)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
国税不服審判所令和元年6月14日裁決(名裁(所)平30-39)
TAINSコード:F0-1-1081
[審査請求人]
複数の大学等で名誉教授や顧問等を務める医師
[争点]
本件業務から生じる所得は、所得税法第27条第1項に規定する事業所得又は同法第35条第1項に規定する雑所得のいずれに該当するか。
[裁決]
棄却
「審査請求はいずれも理由がないから、これを棄却する」
【事案の概要】
本件は、複数の大学等で名誉教授や顧問等を務める医師である審査請求人が、救命救急医療等に関する専門技術・知識の教授又は指導等(以下「本件役務」という)を行い、給与を得ていた一方、執筆等に係る業務(以下「本件業務」という)を行い、本件業務から生じる所得が事業所得に該当することを前提に、事業所得における損失の金額を給与所得の金額から控除して所得税等の確定申告をしたところ、原処分庁が、本件業務から生じる所得は雑所得に該当するから、当該損失の金額を給与所得の金額から控除することはできないなどとして、所得税等の更正処分等を行ったのに対し、請求人が本件業務から生じる所得は事業所得であるなどとして、原処分の一部の取消しを求めた事案である。
裁決書によれば、審査請求の対象となった各年分において、請求人は1,700万円を超える給与を得る一方で、本件業務に係る報酬は100万円に満たないものであった。また、請求人は、妻を経理事務等に従事させ、支払った給与を青色事業専従者給与として、事業所得の金額の計算上必要経費に算入していた。請求人の確定申告においては、事業所得に係る損失の金額が、本件業務に係る総収入金額の約3倍から約4倍となっていた。
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