租税争訟レポート
【第59回】
「事業所得の不申告と虚偽の住民登録(所得税法違反)
(大阪地方裁判所令和2年9月14日判決)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
大阪地方裁判所令和2年9月14日判決
令和2年(わ)第947号所得税法違反事件(有罪)
TAINSコード:Z999-9163
[被告人]
インターネット販売サイト上で音響機器等を販売する事業及び不動産賃貸業を営んでいた、大阪市内の居住者
[争点]
被告人による以下の行為が、確定申告書を提出しなかったことに関する所得秘匿工作に当たるか否か。
① 居住実態がない住所に住民登録をしたこと
② 他人名義の銀行口座から仕入代金を海外の仕入先に送金したこと
③ 他人名義を含む多数のオークションサイトIDを使用して販売取引をしたこと
④ 自己の所得を「0円」であると記載した市・県民税申告書を提出したこと
[判決]
- 被告人を懲役1年及び罰金800万円に処する。
- その罰金を完納することができないときは、金4万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
- この裁判確定の日から4年間その懲役刑の執行を猶予する。
【事案の概要】
被告人は、大阪市内に居住し、同所において、インターネット販売サイト上で音響機器等を販売する事業及び不動産賃貸業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、居住実態がない住所に住民登録をして住民登録と実際の住所が異なる状態を生じさせる方法により、その所得を隠匿したうえ、平成26年分から平成29年分までの4年分における総所得金額、これに対する所得税額、所得税及び復興特別所得税額、その申告納税額並びにそのうちの所得税額がそれぞれ同表記載のとおりであったにもかかわらず、同表記載の各法定納期限までに、所轄税務署長に対し、所得税及び復興特別所得税の確定申告書を提出しないで同期限を徒過させ、もって不正の行為により、同表記載の各年分の所得税額及び復興特別所得税額の申告納税額のうちの所得税額合計31,890,205円につき所得税を免れた。
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