公開日: 2022/02/03 (掲載号:No.455)
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租税争訟レポート 【第59回】「事業所得の不申告と虚偽の住民登録(所得税法違反)(大阪地方裁判所令和2年9月14日判決)」

筆者: 米澤 勝

租税争訟レポート

【第59回】

「事業所得の不申告と虚偽の住民登録(所得税法違反)
(大阪地方裁判所令和2年9月14日判決)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

大阪地方裁判所令和2年9月14日判決
令和2年(わ)第947号所得税法違反事件(有罪)
TAINSコード:Z999-9163

[被告人]

インターネット販売サイト上で音響機器等を販売する事業及び不動産賃貸業を営んでいた、大阪市内の居住者

[争点]

被告人による以下の行為が、確定申告書を提出しなかったことに関する所得秘匿工作に当たるか否か。

 居住実態がない住所に住民登録をしたこと

 他人名義の銀行口座から仕入代金を海外の仕入先に送金したこと

 他人名義を含む多数のオークションサイトIDを使用して販売取引をしたこと

 自己の所得を「0円」であると記載した市・県民税申告書を提出したこと

[判決]

  • 被告人を懲役1年及び罰金800万円に処する。
  • その罰金を完納することができないときは、金4万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
  • この裁判確定の日から4年間その懲役刑の執行を猶予する。

【参考】 裁判所ホームページ
所得税法違反事件」(令和2年9月14日大阪地方裁判所判決)

 

【事案の概要】

被告人は、大阪市内に居住し、同所において、インターネット販売サイト上で音響機器等を販売する事業及び不動産賃貸業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、居住実態がない住所に住民登録をして住民登録と実際の住所が異なる状態を生じさせる方法により、その所得を隠匿したうえ、平成26年分から平成29年分までの4年分における総所得金額、これに対する所得税額、所得税及び復興特別所得税額、その申告納税額並びにそのうちの所得税額がそれぞれ同表記載のとおりであったにもかかわらず、同表記載の各法定納期限までに、所轄税務署長に対し、所得税及び復興特別所得税の確定申告書を提出しないで同期限を徒過させ、もって不正の行為により、同表記載の各年分の所得税額及び復興特別所得税額の申告納税額のうちの所得税額合計31,890,205円につき所得税を免れた。

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【第59回】

「事業所得の不申告と虚偽の住民登録(所得税法違反)
(大阪地方裁判所令和2年9月14日判決)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

大阪地方裁判所令和2年9月14日判決
令和2年(わ)第947号所得税法違反事件(有罪)
TAINSコード:Z999-9163

[被告人]

インターネット販売サイト上で音響機器等を販売する事業及び不動産賃貸業を営んでいた、大阪市内の居住者

[争点]

被告人による以下の行為が、確定申告書を提出しなかったことに関する所得秘匿工作に当たるか否か。

 居住実態がない住所に住民登録をしたこと

 他人名義の銀行口座から仕入代金を海外の仕入先に送金したこと

 他人名義を含む多数のオークションサイトIDを使用して販売取引をしたこと

 自己の所得を「0円」であると記載した市・県民税申告書を提出したこと

[判決]

  • 被告人を懲役1年及び罰金800万円に処する。
  • その罰金を完納することができないときは、金4万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
  • この裁判確定の日から4年間その懲役刑の執行を猶予する。

【参考】 裁判所ホームページ
所得税法違反事件」(令和2年9月14日大阪地方裁判所判決)

 

【事案の概要】

被告人は、大阪市内に居住し、同所において、インターネット販売サイト上で音響機器等を販売する事業及び不動産賃貸業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、居住実態がない住所に住民登録をして住民登録と実際の住所が異なる状態を生じさせる方法により、その所得を隠匿したうえ、平成26年分から平成29年分までの4年分における総所得金額、これに対する所得税額、所得税及び復興特別所得税額、その申告納税額並びにそのうちの所得税額がそれぞれ同表記載のとおりであったにもかかわらず、同表記載の各法定納期限までに、所轄税務署長に対し、所得税及び復興特別所得税の確定申告書を提出しないで同期限を徒過させ、もって不正の行為により、同表記載の各年分の所得税額及び復興特別所得税額の申告納税額のうちの所得税額合計31,890,205円につき所得税を免れた。

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連載目次

租税争訟レポート

第1回~第60回

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

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