公開日: 2023/06/08 (掲載号:No.522)
文字サイズ

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第87回】「財産分与と譲渡所得課税事件」~最判昭和50年5月27日(民集29巻5号641頁)~

筆者: 菊田 雅裕

さっと読める!

実務必須の

[重要税務判例]

【第87回】

「財産分与と譲渡所得課税事件」

~最判昭和50年5月27日(民集29巻5号641頁)~

 

弁護士 菊田 雅裕

 

-本連載の趣旨-

本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。

税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。

本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。

このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。

なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。

▷今回の題材

財産分与と譲渡所得課税事件

最判昭和50年5月27日(民集29巻5号641頁)

《概要》

Xは、その妻Aと調停離婚し、財産分与としてAに土地建物(本件不動産)を譲渡した。Xは、当該年分の所得税の確定申告をしたが、その際、本件不動産の譲渡所得については申告しなかった。そこで、Y税務署長は、Xに対し、本件不動産につき譲渡所得の申告漏れがあるとして、更正処分を行った。

Xは、これを不服として、更正処分の取消しを求める訴訟を提起したが、最高裁は、Xの主張を認めなかった。

《関係図》

▷争点

財産分与としてなされた不動産の譲渡は、譲渡所得課税の対象となるか。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

さっと読める!

実務必須の

[重要税務判例]

【第87回】

「財産分与と譲渡所得課税事件」

~最判昭和50年5月27日(民集29巻5号641頁)~

 

弁護士 菊田 雅裕

 

-本連載の趣旨-

本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。

税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。

本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。

このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。

なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。

▷今回の題材

財産分与と譲渡所得課税事件

最判昭和50年5月27日(民集29巻5号641頁)

《概要》

Xは、その妻Aと調停離婚し、財産分与としてAに土地建物(本件不動産)を譲渡した。Xは、当該年分の所得税の確定申告をしたが、その際、本件不動産の譲渡所得については申告しなかった。そこで、Y税務署長は、Xに対し、本件不動産につき譲渡所得の申告漏れがあるとして、更正処分を行った。

Xは、これを不服として、更正処分の取消しを求める訴訟を提起したが、最高裁は、Xの主張を認めなかった。

《関係図》

▷争点

財産分与としてなされた不動産の譲渡は、譲渡所得課税の対象となるか。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例]

連載が単行本になりました!!
くわしくは[こちら

第1回~第90回

筆者紹介

菊田 雅裕

(きくた・まさひろ)

弁護士
横浜よつば法律税務事務所

【略歴】
・平成13年 東京大学法学部卒業
・平成16年 司法試験合格
・平成18年 弁護士登録
・平成23~25年 福岡国税不服審判所 国税審判官
・平成25~26年 東京国税不服審判所 国税審判官

【著書】
さっと読める!実務必須の重要税務判例70』(清文社、2021年)

関連書籍

資産税実務問答集

井上浩二 編 信永 弘 編

空き家の法律問題と実務対応

弁護士・税理士 羽柴研吾 著

不動産の評価・権利調整と税務

鵜野和夫 著 税理士・不動産鑑定士 下﨑 寛 著 税理士・不動産鑑定士 関原教雄 著

個人の税務相談事例500選

木ノ元隆則 編

申告所得税取扱いの手引

公益財団法人 納税協会連合会 編集部 編

【電子書籍版】税務・労務ハンドブック

公認会計士・税理士 菊地 弘 著 公認会計士・税理士 井村 奨 著 税理士 山口光晴 著 特定社会保険労務士 佐竹康男 著 特定社会保険労務士 井村佐都美 著

読解 不動産登記Q&A

司法書士 飯川洋一 著 弁護士 官澤里美 著 土地家屋調査士 高橋一秀 著 司法書士 佐藤光洋 著

図解でわかる 不動産オーナーの相続対策

税理士 今仲 清 著 税理士 坪多晶子 著

路線価による土地評価の実務

公認会計士・税理士 名和道紀 共著           長井庸子 共著

新・くらしの税金百科 2024→2025

公益財団法人 納税協会連合会 編

税務・労務ハンドブック

公認会計士・税理士 菊地 弘 著 公認会計士・税理士 井村 奨 著 税理士 山口光晴 著 特定社会保険労務士 佐竹康男 著 特定社会保険労務士 井村佐都美 著

令和6年度版 税務コンパクトブック

株式会社プロフェッションネットワーク 編著

【電子書籍版】令和6年度版 税務コンパクトブック

株式会社プロフェッションネットワーク 編著

【紙書籍+電子[1ID]セット版】令和6年度版 税務コンパクトブック

株式会社プロフェッションネットワーク 編著

「配当還元方式」徹底活用ガイド

税理士 山本和義 著

演習所得税法

公益社団法人 全国経理教育協会 編

【電子書籍版】資産税実務問答集

後藤幸泰 編 信永 弘 編

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#