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実務必須の
[重要税務判例]
【第29回】
「シルバー精工事件」
~最判平成16年6月24日(集民214号417頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
シルバー精工事件
(最判平成16年6月24日(集民214号417頁))
《概要》
X社は、その米国子会社A社を通じ、開発製造したプリンター等を米国で販売した。これに対し、米国法人B社は、自社の米国特許権を侵害するとして、米国において、X社のプリンター等の輸入の差止請求訴訟を提起した。X社は、訴訟対応の負担、敗訴可能性、差止め決定がなされた場合の影響等を考慮し、B社に一定金額を支払うことでB社と和解した(本件和解)。この和解金の支払に当たり、X社は、源泉徴収税額を控除しなかった。
これについて、Y税務署長は、X社の支払った金員は国内源泉所得である特許権使用料に当たるとして、X社に対し、源泉所得税の納税告知処分を行った。これをX社が争ったのが本件である。
最高裁は、X社が支払った金員は国内源泉所得である特許権使用料ではないとして、X社の主張を認めた。
《関係図》
▷争点
X社の支払った金員は国内源泉所得となるか。
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