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実務必須の
[重要税務判例]
【第75回】
「阪神・淡路大震災事件」
~最判平成17年4月14日(民集59巻3号491頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
阪神・淡路大震災事件
最判平成17年4月14日(民集59巻3号491頁)
《概要》
Xは、阪神・淡路大震災によって、自己が所有する建物が損壊したため、これを取り壊し、新しい建物を建築して、Y(登記官)に対し、当該建物についての所有権保存登記の申請をした。また、これに関し、登録免許税72万円を納付した。これを受けて、Yは、新建物について保存登記をした。
その後、Xは、阪神・淡路大震災の被災者等に適用される特例法における登録免許税の免除措置が適用されることを理由として、Yに対し、登録免許税法31条2項に基づき、過大に納付した登録免許税があることを所轄税務署長に通知するよう求めた。しかし、Yは、Xに対し、過誤納はないとして、当該通知をすることを拒否する旨通知した(本件拒否通知)。
そこで、Xは、Yに対し、本件拒否通知の取消請求訴訟を提起した。また、Xは、これと併せて、国に対し、納付した登録免許税の還付請求訴訟も提起した。
最高裁は、XのYに対する請求を認めなかった。
《関係図》
▷争点
1 過大に登録免許税を納付して登記を受けた者が、登録免許税法(改正前)31条2項所定の請求の手続によらないで過誤納金の還付を請求することはできるか。
2 登記等を受けた者が登録免許税法(改正前)31条2項に基づいてした所轄税務署長への通知請求に対する登記機関の拒否通知は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか。
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