〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領
《リース取引》編
【第1回】
「通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理と
通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理
~所有権移転外ファイナンス・リース取引(借手)」
公認会計士・税理士 前原 啓二
本連載の趣旨
「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小企業会計指針」とします)は、中小企業が計算書類の作成に当たり拠ることが望ましい会計処理等を示すもので、一定の水準を保ったものとされています。これに比べ簡単な会計処理をすることが適切と考えられる中小企業を対象に「中小企業の会計に関する基本要領」も公表されました。
しかし、これらは簡潔に文章で記載されており、概念的には理解できても、実際にはどのように会計処理するのかがわからないため、仕方なく法人税法の規定による決算処理を続けている中小企業が散見されます。
そこで、本連載では、実際の中小企業で行われている基本的かつ重要な会計処理の事例をテーマごとに選び出し、「中小企業会計指針」等に基づく会計処理の一例について数値例を用いて具体的に示して、実務上のモデルとなるように解説します。
連載の第7弾として、リース取引を取り上げます。このテーマの「中小企業会計指針」等に基づく会計処理は、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る借手について、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた方法による旧来の会計処理を容認しつつ、強制ではないが通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理を取り入れています。
本連載が、「中小企業会計指針」等のより一層の普及、さらに、中小企業の経営実態の正確な把握や適切な経営管理への発展に、少しでもつながれば幸いです。
《リース取引》編のラインナップ
- 【第1回】 通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理と通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理~所有権移転外ファイナンス・リース取引(借手)
- 【第2回】 リース契約の中途解約の場合の会計処理~所有権移転外ファイナンス・リース取引(借手)
はじめに
所有権移転外ファイナンス・リース取引の借手は、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行うこととされています。一方で、未経過リース料を注記することを条件として通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理することもできます。今回は、これら2つの方法を対比してご紹介します。
【設例1】
当社(3月31日決算)は、下記のリース取引を借手として×0年4月1日に開始しました。
- リース物件は、特別仕様ではない車両。
- リース料:毎月末100,000円/月×60回=6,000,000円(リース料総額)
- リース期間:60ヶ月(×0年4月から×5年3月)
- 所有権移転条項 なし
- 割安購入選択権 なし
ケース1
このリース取引を、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行います。リース資産総額に重要性が乏しいため、リース料総額から利息相当額を控除しない方法によっています。
ケース2
このリース取引を、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行います。
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