公開日: 2019/12/12 (掲載号:No.348)
文字サイズ

事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第12回】「兄弟間で株式を相互保有している場合」

筆者: 太陽グラントソントン税理士法人 事業承継対策研究会

事例でわかる[事業承継対策]

解決へのヒント

【第12回】

「兄弟間で株式を相互保有している場合」

 

太陽グラントソントン税理士法人
(事業承継対策研究会)
パートナー 税理士 梶本 岳

 

相談内容

私たちは、建設業を営むA社を経営する長男Xと、サービス業を営むB社を経営する二男Yの兄弟です。A社とB社は、いずれも私たち兄弟の父(故人)が創業した会社で、現在はXがA社の代表取締役を、YがB社の代表取締役を務めています。

15年前に父の相続があった際、自社株に対する相続税の負担がとても大きかったため、税理士のアドバイスに従って、私たちの母Zが自社株の半数を相続し、残りの株式をXとYが半分ずつ取得することにしました。

会社	A社	B社 業種	建設業	サービス業 代表取締役	長男X	二男Y 株主構成	母Z:50% 長男X:25% 二男Y:25%	母Z:50% 長男X:25% 二男Y:25%

創業者であった父の死後、私たち兄弟は、力を合わせて2つの会社を経営してきましたが、会社が成長する過程において、A社はXが、B社はYが経営を担い、お互いに経営を任せ合う関係になりました。

母は来年80歳になります。兄弟で相談した結果、A社の株式はXが、B社の株式はYが相続する方向で相続対策を進めることになりました。それぞれが経営する会社の株式を相続し、ゆくゆくは自分の子供にも会社を継がせたいと考えています。

このような場合、私たち兄弟が相互に持ち合っている株式は、どのように整理すれば良いでしょうか。

なお、私たちの会社は業績も好調で、どちらの会社も株価が高くなっているようです。このため、お互いの株式を譲渡で取得するには、相応の資金が必要になりそうです。また、贈与税の負担を考えると、兄弟や兄弟の子供に株式を贈与することも現実的ではなさそうです。さらに顧問税理士からは、経営に関与していない母Zが筆頭株主であるため、事業承継税制(贈与税の納税猶予)を使うこともできないと説明を受けています。

ところで、“株式交換”という言葉を聞いたことがありますが、この仕組みを用いれば、A社株式とB社株式を交換することは可能でしょうか。また、土地を等価交換した場合には所得税が非課税になると聞いたことがあるのですが、株式についても税負担なく交換することは可能でしょうか。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

事例でわかる[事業承継対策]

解決へのヒント

【第12回】

「兄弟間で株式を相互保有している場合」

 

太陽グラントソントン税理士法人
(事業承継対策研究会)
パートナー 税理士 梶本 岳

 

相談内容

私たちは、建設業を営むA社を経営する長男Xと、サービス業を営むB社を経営する二男Yの兄弟です。A社とB社は、いずれも私たち兄弟の父(故人)が創業した会社で、現在はXがA社の代表取締役を、YがB社の代表取締役を務めています。

15年前に父の相続があった際、自社株に対する相続税の負担がとても大きかったため、税理士のアドバイスに従って、私たちの母Zが自社株の半数を相続し、残りの株式をXとYが半分ずつ取得することにしました。

会社	A社	B社 業種	建設業	サービス業 代表取締役	長男X	二男Y 株主構成	母Z:50% 長男X:25% 二男Y:25%	母Z:50% 長男X:25% 二男Y:25%

創業者であった父の死後、私たち兄弟は、力を合わせて2つの会社を経営してきましたが、会社が成長する過程において、A社はXが、B社はYが経営を担い、お互いに経営を任せ合う関係になりました。

母は来年80歳になります。兄弟で相談した結果、A社の株式はXが、B社の株式はYが相続する方向で相続対策を進めることになりました。それぞれが経営する会社の株式を相続し、ゆくゆくは自分の子供にも会社を継がせたいと考えています。

このような場合、私たち兄弟が相互に持ち合っている株式は、どのように整理すれば良いでしょうか。

なお、私たちの会社は業績も好調で、どちらの会社も株価が高くなっているようです。このため、お互いの株式を譲渡で取得するには、相応の資金が必要になりそうです。また、贈与税の負担を考えると、兄弟や兄弟の子供に株式を贈与することも現実的ではなさそうです。さらに顧問税理士からは、経営に関与していない母Zが筆頭株主であるため、事業承継税制(贈与税の納税猶予)を使うこともできないと説明を受けています。

ところで、“株式交換”という言葉を聞いたことがありますが、この仕組みを用いれば、A社株式とB社株式を交換することは可能でしょうか。また、土地を等価交換した場合には所得税が非課税になると聞いたことがあるのですが、株式についても税負担なく交換することは可能でしょうか。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

事例でわかる
[事業承継対策]解決へのヒント

連載を収録した単行本が好評発売中!!

【第1回】~【第50回】

筆者紹介

太陽グラントソントン税理士法人 事業承継対策研究会

法人内における以下の執筆メンバーを中心に、中堅・中小企業の事業承継問題の解決に向けた研究を行っています。

〔執筆メンバー〕
パートナー 税理士 日野有裕
パートナー 税理士 梶本 岳
マネジャー 公認会計士・税理士 岩丸涼一
マネジャー 税理士 髙田泰輔

https://www.grantthornton.jp/aboutus/tax/

〔著書〕
ケース別 事業承継対策Q&A~事例でわかる解決へのヒント~

関連書籍

相続税・贈与税取扱いの手引

公益財団法人 納税協会連合会 編集部 編

相続税実務の“鉄則”に従ってはいけないケースと留意点

中島孝一 著 西野道之助 著 飯田昭雄 著 佐々木京子 著 高野雅之 著 若山寿裕 著 佐久間美亜 著

中小企業の事業再生等ガイドラインの実務

弁護士 福岡真之介 著 弁護士 片井慎一 著 公認会計士・税理士 松田隆志 著

相続時精算課税制度 選択適用ガイド

税理士・CFP® 徳田敏彦 著

Q&A 中小企業における「株式」の実務対応

東京中小企業投資育成株式会社 公認会計士・税理士 中野威人 著

「配当還元方式」徹底活用ガイド

税理士 山本和義 著

中小企業の事業承継

税理士 牧口晴一 著 名古屋商科大学大学院教授 齋藤孝一 著

【電子書籍版】相続税・贈与税取扱いの手引

公益財団法人 納税協会連合会 編集部 編

〇×判定ですぐわかる資産税の実務

公益財団法人 納税協会連合会 編集部 編

〔目的別〕組織再編の最適スキーム

公認会計士・税理士 貝沼 彩 著 公認会計士・税理士 北山雅一 著 税理士 清水博崇 著 司法書士・社会保険労務士 齊藤修一 著

詳説 自社株評価Q&A

税理士 竹内陽一 編著 税理士 掛川雅仁 編著 税理士 村上晴彦 編著 税理士 堀内眞之 編著

組織再編税制大全

公認会計士・税理士 佐藤信祐 著

経営危機に陥った社長さんを守る最後の救済策

公認会計士・税理士 橋口貢一 著

中小企業の運営・承継における理論と実務 ファミリービジネスは日本を救う

大阪弁護士会・日本公認会計士協会近畿会・ファミリービジネス研究会 著

非公開会社における少数株主対策の実務

弁護士法人ピクト法律事務所 代表弁護士 永吉啓一郎 著

Q&A 居住用財産の譲渡特例大全

税理士 大久保昭佳 著

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#