租税争訟レポート
【第54回】
「税理士に対する損害賠償請求事件
(東京地方裁判所令和2年7月30日判決)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【判決の概要】
東京地方裁判所令和2年7月30日判決
平成29年(ワ)第28885号損害賠償等請求事件
TAINSコード:Z999-0176
[原告]
- 金型の製造等を行う株式会社(原告会社)
- 原告会社の代表取締役であったA(令和元年11月23日死亡)
- 原告の関係者B(Aの妻、Aが代表取締役辞任後、代表取締役就任)
- 同C(AとBの間の長女)
- 同D(Cの夫)
- 承継人(AとBの間の二女、Aの遺言により単独相続)
[被告]
- 税理士兼公認会計士Y1
- Y1が代表取締役を務めるコンサルティング会社(被告会社)
- Y2(被告Y1の妻、被告会社の取締役)
- Y3(被告Y1の父、被告会社の取締役)
[争点]
1 原告会社と被告Y1及び被告会社との間
(1) 株価引き下げ業務につき、被告Y1による報酬の重複請求ないし詐取の有無〔争点1-1〕
(2) 欠損金の繰戻還付支援につき、被告Y1による報酬の重複請求ないし詐取の有無〔争点1-2〕
(3) 納税猶予支援業務につき、被告Y1による報酬の重複請求の有無、同被告の任務懈怠の有無、被告会社の善管注意義務違反の有無〔争点1-3〕
(4) 株式交換による組織再編業務につき、被告Y1による報酬の重複請求ないし詐取の有無、被告会社の暴利行為の有無〔争点1-4〕
(5) 一般社団法人活用支援業務につき、被告Y1による報酬の重複請求ないし詐取の有無、被告会社の債務不履行の有無〔争点1-5〕
(6) 地方税の還付支援業務につき、被告Y1による報酬の詐取の有無〔争点1-6〕
(7) ふるさと納税事務代行業務につき、被告Y1による報酬の詐取の有無〔争点1-7〕
2 原告会社と被告Y1との間
顧問契約解除後の自動引落しにつき、被告Y1の不法行為の有無〔争点2〕
3 承継人と被告Y1及び被告会社との間
遺言書作成支援業務につき、被告Y1による報酬の詐取の有無〔争点3〕
4 原告会社と被告Y3及び被告Y2との間
被告Y3及び被告Y2の任務懈怠の有無〔争点4〕
[判決](一部抜粋)
一部認容・一部棄却
1 被告らは、原告会社に対し、各自、1,404万4,760円を支払え。
2 被告Y1及び被告会社は、原告会社に対し、各自、1,620万1,433円を支払え。
3 被告Y1は、原告会社に対し、108万円を支払え。
4 被告会社は、原告会社に対し、3,359万2,600円を支払え。
5 原告会社のそのほかの請求及び承継人の請求をいずれも棄却する。
【事案の概要】
被告Y1は、原告会社の顧問税理士として税務申告業務等を行うとともに、コンサルティング業者である被告会社の代表取締役として、原告会社の事業承継等についてのコンサルティング業務等に携わっていた。
本件は、原告会社及び同原告の代表取締役であった亡A(以下「A」という)を相続した承継人(以下、原告会社と承継人をあわせて「原告ら」という)が、上記業務等に関し、被告Y1の詐欺による報酬の不正請求があったなどと主張して、被告らに対し、不法行為等に基づく損害金の支払を求める事案である。
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