公開日: 2017/10/05 (掲載号:No.238)
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租税争訟レポート 【第34回】「賃貸用建物の建築費用の用途区分(国税不服審判所裁決)」

筆者: 米澤 勝

租税争訟レポート

【第34回】

「賃貸用建物の建築費用の用途区分(国税不服審判所裁決)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

国税不服審判所平成28年10月26日裁決
((広裁(諸)平28-2)、TAINSコード:F0-5-176)

[審査請求人]

不動産賃貸業を営む個人事業主

[原処分]

平成27年5月28日付でされた平成23年1月1日から平成23年3月31日まで及び平成24年7月1日から平成24年9月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分

[争点]

(1) 争点1 平成23年3月課税期間の本件A建物に係る建築費用等の課税仕入れに係る支払対価の額は幾らか。

(2) 争点2 平成23年3月課税期間において、本件A建物に係る建築費用等の個別対応方式を適用する際の用途区分は何か。

(3) 争点3 平成23年3月課税期間において、本件B建物に係る建築費用等の個別対応方式を適用する際の用途区分は何か。

(4) 争点4 平成23年3月課税期間における請求人の行為は、通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装に該当するか。

(5) 争点5 平成23年3月課税期間における請求人の行為は、通則法第70条第4項に規定する偽りその他不正の行為に該当するか。

(6) 争点6 平成24年9月課税期間において、本件B建物に係る建築費用等の個別対応方式を適用する際の用途区分は何か。

(7) 争点7 平成24年9月課税期間における請求人の行為は、通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装に該当するか。

[裁決]

一部取消し

 

【事案の概要】

本件は、不動産賃貸業を営む審査請求人(以下「請求人」という)の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)について、原処分庁が、課税仕入れに係る支払対価の額が過大に計上されており、また、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第2項第1号に規定する方法による課税仕入れに係る消費税額の計算において、課税仕入れに係る用途区分に誤りがあるなどとして更正処分等を行ったのに対し、請求人が原処分庁の認定に誤りがあるとして、原処分の一部の取消しを求めた事案である。

争点は、以下の7点である。

(1) 争点1 平成23年3月課税期間の本件A建物に係る建築費用等の課税仕入れに係る支払対価の額は幾らか。

(2) 争点2 平成23年3月課税期間において、本件A建物に係る建築費用等の個別対応方式を適用する際の用途区分は何か。

(3) 争点3 平成23年3月課税期間において、本件B建物に係る建築費用等の個別対応方式を適用する際の用途区分は何か。

(4) 争点4 平成23年3月課税期間における請求人の行為は、通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装に該当するか。

(5) 争点5 平成23年3月課税期間における請求人の行為は、通則法第70条第4項に規定する偽りその他不正の行為に該当するか。

(6) 争点6 平成24年9月課税期間において、本件B建物に係る建築費用等の個別対応方式を適用する際の用途区分は何か。

(7) 争点7 平成24年9月課税期間における請求人の行為は、通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装に該当するか。

本稿では、(争点1)A建物に係る建築費用等の課税仕入れに係る支払対価の額、(争点2、3、6)の個別対応方式における各建物の用途区分について、請求人及び原処分庁の主張並びに審判所の判断を検討したい。

なお、本裁決は非公開裁決であり、情報公開法第9条第1項による開示情報であるところから、固有名詞や所在地、金額の多くについてマスキングがされているため、筆者において、適宜、業者名、金額等を推定しながら補っていることをお断りしておきたい。

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【第34回】

「賃貸用建物の建築費用の用途区分(国税不服審判所裁決)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

国税不服審判所平成28年10月26日裁決
((広裁(諸)平28-2)、TAINSコード:F0-5-176)

[審査請求人]

不動産賃貸業を営む個人事業主

[原処分]

平成27年5月28日付でされた平成23年1月1日から平成23年3月31日まで及び平成24年7月1日から平成24年9月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分

[争点]

(1) 争点1 平成23年3月課税期間の本件A建物に係る建築費用等の課税仕入れに係る支払対価の額は幾らか。

(2) 争点2 平成23年3月課税期間において、本件A建物に係る建築費用等の個別対応方式を適用する際の用途区分は何か。

(3) 争点3 平成23年3月課税期間において、本件B建物に係る建築費用等の個別対応方式を適用する際の用途区分は何か。

(4) 争点4 平成23年3月課税期間における請求人の行為は、通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装に該当するか。

(5) 争点5 平成23年3月課税期間における請求人の行為は、通則法第70条第4項に規定する偽りその他不正の行為に該当するか。

(6) 争点6 平成24年9月課税期間において、本件B建物に係る建築費用等の個別対応方式を適用する際の用途区分は何か。

(7) 争点7 平成24年9月課税期間における請求人の行為は、通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装に該当するか。

[裁決]

一部取消し

 

【事案の概要】

本件は、不動産賃貸業を営む審査請求人(以下「請求人」という)の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)について、原処分庁が、課税仕入れに係る支払対価の額が過大に計上されており、また、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第2項第1号に規定する方法による課税仕入れに係る消費税額の計算において、課税仕入れに係る用途区分に誤りがあるなどとして更正処分等を行ったのに対し、請求人が原処分庁の認定に誤りがあるとして、原処分の一部の取消しを求めた事案である。

争点は、以下の7点である。

(1) 争点1 平成23年3月課税期間の本件A建物に係る建築費用等の課税仕入れに係る支払対価の額は幾らか。

(2) 争点2 平成23年3月課税期間において、本件A建物に係る建築費用等の個別対応方式を適用する際の用途区分は何か。

(3) 争点3 平成23年3月課税期間において、本件B建物に係る建築費用等の個別対応方式を適用する際の用途区分は何か。

(4) 争点4 平成23年3月課税期間における請求人の行為は、通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装に該当するか。

(5) 争点5 平成23年3月課税期間における請求人の行為は、通則法第70条第4項に規定する偽りその他不正の行為に該当するか。

(6) 争点6 平成24年9月課税期間において、本件B建物に係る建築費用等の個別対応方式を適用する際の用途区分は何か。

(7) 争点7 平成24年9月課税期間における請求人の行為は、通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装に該当するか。

本稿では、(争点1)A建物に係る建築費用等の課税仕入れに係る支払対価の額、(争点2、3、6)の個別対応方式における各建物の用途区分について、請求人及び原処分庁の主張並びに審判所の判断を検討したい。

なお、本裁決は非公開裁決であり、情報公開法第9条第1項による開示情報であるところから、固有名詞や所在地、金額の多くについてマスキングがされているため、筆者において、適宜、業者名、金額等を推定しながら補っていることをお断りしておきたい。

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連載目次

租税争訟レポート

第1回~第60回

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

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