租税争訟レポート
【第47回】
「内縁の妻に対して支給した給与の否認と納税告知処分
(第一審:東京地方裁判所2019(令和1)年5月30日判決)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【判決の概要】
〈第一審〉
東京地方裁判所令和1年5月30日判決
法人税更正処分等取消請求事件
TAINSコード:Z888-2279
[原告]
建設用機械及び車両の企画・設計・製造・販売等を目的として設立された法人(青色申告事業者)
[被告]
国
処分行政庁:茂原税務署
[争点]
(1) 各支給額は原告代表者に対する役員給与に該当するか。
(2) (各支給額が原告代表者に対する役員給与に該当するとした場合、)各支給額は事実を仮装して経理をすることにより支給されたものであるか。
(3) 各処分に理由付記の不備の違法があるか。
[判決]
棄却(納税者敗訴)(原告控訴)
【お断り】
TAINS所収の判決文(情報公開法9条1項による開示情報)では、原告が給与を支給した者の名前が不開示とされ、■■となっているため、本稿では、便宜上「A」と呼称することで統一した。
【事案の概要】
建設用機械及び車両の企画・設計・製造・販売等を目的として設立された法人である原告は、処分行政庁である茂原税務署による税務調査の対象となった平成19年10月1日に開始する事業年度から、平成26年9月30日に終了する事業年度までの各事業年度における法人税の確定申告において、自己の従業員であるとする「A」に給与を支給したとして、その支給額を損金の額に算入して申告を行った。
税務調査の結果、茂原税務署は、その支給額につき、「A」に対する給与であるかのように事実を仮装して経理することにより原告代表者に対して支給された役員給与の額と認め、①法人税法34条3項に基づき、法人税の所得の金額の計算上、その支給額を損金の額に算入することはできないとして、平成27年6月29日付けで、各事業年度に係る法人税の更正処分をするとともに、②原告代表者に対する役員給与に該当するとした金額につき、所得税法183条1項に基づき、平成20年上期から平成26年下期までの各期間について納付すべき源泉所得税が発生しているとして、その納税告知処分をし、さらに、③国税通則法の規定に基づき、各期間に係る不納付加算税及び重加算税の各賦課決定処分をした。
本件は、原告が、被告を相手に、本件各更正処分、各納税告知処分及び各賦課決定処分の取消しを求める事案である。
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