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実務必須の
[重要税務判例]
【第76回】
「旭川市国民健康保険条例事件」
~最判平成18年3月1日(民集60巻2号587号)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
旭川市国民健康保険条例事件
最判平成18年3月1日(民集60巻2号587号)
《概要》
Xは、Y1(市)を保険者とする国民健康保険の一般被保険者の資格を取得した。Y1は、国民健康保険事業を運営する保険者であり、国民健康保険法・Y1の国民健康保険条例により、国民健康保険料を徴収している。
その後、Xに対する平成6年度の保険料の賦課額が決定され(本件賦課処分)、保険料の納入通知書がXに送付された。これを受けて、Xは、保険料の減免申請をした。これに対し、Y2(Y1市長)は、減免基準に非該当である旨を通知した(減免非該当処分)。そこで、Xが、Y1に対し本件賦課処分の取消し・無効確認を、Y2に対し、減免非該当処分の取消し・無効確認を、それぞれ求めたのが本件である。
最高裁は、Xの請求を認めなかった。
《関係図》
※本稿では、本件賦課処分に関する論点に絞って解説を行う〔追記:2022/6/9〕。
▷争点
1 市町村が行う国民健康保険の保険料につき、憲法84条(租税法律主義)は適用されるか。
2 Y1の国民健康保険条例が、国民健康保険の保険料率の算定の基礎となる賦課総額の算定基準を定めた上で、Y2に対し、保険料率を同基準に基づいて決定して告示の方式により公示することを委任したことは、国民健康保険法81条・憲法84条に違反するか。
3 Y2がY1の国民健康保険条例の規定に基づき国民健康保険の保険料率を賦課期日後に告示したことは、憲法84条に違反するか。
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