租税争訟レポート
【第68回】
「税理士損害賠償請求事件~善管注意義務違反
(東京地方裁判所令和2年2月20日判決)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【判決の概要】
東京地方裁判所令和2年2月20日判決
東京地方裁判所平成30年(ワ)第31637号
損害賠償請求事件
TAINSコード:Z999-0181
[原告]
ソフトウェアの開発・販売、ソフトウェアの開発のコンサルティング等を業とする株式会社
[被告]
平成15年4月から平成29年11月28日まで、原告の顧問税理士の地位にあった税理士
[争点]
(1) ア 被告が本件顧問契約に基づき横領等の不正を報告し、原告の要望内容が適切か否かについて調査確認し、原告の要望や報告を漫然と受け入れることなく原告の要望や報告内容に不足や不審な点があればこれを明らかにし、不適正な要望は改めるよう助言・指導して適正な申告書を作成する義務を負っていたか〔争点1ー1〕
イ 被告に上記アの義務の不履行があり、その結果、Aが原告の財産を横領し続け、原告に損害が生じたといえるか〔争点1ー2〕
(2) 原告が被告に対し、上記(1)アの義務違反を理由に、上記(1)イの損害賠償請求をすることが信義則に違反し、権利の濫用として許されないものであるか〔争点2〕
(3) 被告が本件各申告の際に本件税額控除制度に基づく税額控除をしなかったことによって、原告に生じた損害の内容及び金額〔争点3〕
[判決]
一部認容・一部棄却
【事案の概要】
本件は、原告の顧問税理士であった被告が、原告代表者Aによる横領を認識し、あるいは、認識し得たにもかかわらず、原告に対する報告や是正・指導を行わなかったことについて、それらが被告との間の業務委託契約に係る善管注意義務に反すると主張し、原告が、被告に対し、債務不履行による損害賠償請求権に基づき、横領された金銭の合計額1億1,677万6,000円の一部である3,000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成30年10月24日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、被告が確定申告を行うに当たり原告に適用されるべき税額控除制度の適用を失念して同制度に基づく税額控除をしないまま確定申告をしたことが、契約上の善管注意義務に違反するものであると主張し、確定申告に基づいて納付した税額と税額控除制度を適用して計算された納付すべき税額との差額等合計1,038万4,048円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
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