租税争訟レポート
【第70回】
「還付金等請求事件~偽造された委任状に基づく還付金支払の効力
(東京地方裁判所令和3年8月24日判決)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【判決の概要】
東京地方裁判所令和3年8月24日判決
還付金等請求事件
税務訴訟資料 徴収関係判決令和3年判決分(順号2021-16)
TAINSコード:Z777-202116
[原告]
X(相続人)
[被告]
- 国(処分行政庁:大和税務署)
- Y1(Xの弟)
- Y2(税理士法人)
[争点]
(1) 被告Y1の不法行為責任(本件還付金の受領に係る事務管理の成否)〔争点1〕
(2) 被告税理士法人の不法行為責任〔争点2〕
(3) 本件還付請求権の存否(本件還付請求権は、本件支払により消滅したか。すなわち、被告Y1が本件還付金の受領権限を有していなかったことについて大和税務署長が善意無過失であったか否か)〔争点3〕
(4) 原告の損害〔争点4〕
(5) 本件供託の効力〔争点5〕
(6) 被告国に対する附帯請求の当否〔争点6〕
[判決]
- 被告国及びY2に対する請求は棄却
- 被告Y1に対する請求は認容(確定)
【事案の概要】
原告は、大和税務署長に対して相続税の更正の請求を行い、これに対する更正がされたことにより過誤納金及び還付加算金合計1,058万5,275円に係る還付請求権を取得したところ、本件還付請求権の行使について、相続人の1人である被告Y1は、原告の同意を得ずに、原告名義の被告Y1宛ての本件還付金の受領に係る委任状を作成し、被告Y2税理士法人(以下、「被告税理士法人」という)を通じて大和税務署長に提出した結果、被告国は、本来原告に対して支払うべき本件還付金を被告Y1に支払った。
本件は、原告が、本件支払は還付金受領に係る代理権を有しない者に対してされたため効力がなく、還付請求権は消滅していないと主張して、被告国に対し、国税通則法56条1項に基づき、還付金1,058万5,275円及びこれに対する平成28年10月26日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、被告Y1及び被告税理士法人に対して、共同不法行為に基づき、還付金の額に弁護士費用105万円を加えた損害金1,163万5,275円及びこれに対する不法行為の後の日である平成28年10月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
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