〈一角塾〉
図解で読み解く国際租税判例
【第36回】
「大和鋼管工業代表者事件
-特定外国子会社と租税条約-
(地判平20.8.28、高判平21.2.26、最判平21.12.4)(その2)」
~租税特別措置法40条の4、日星租税条約7条1項~
公認会計士・税理士 西川 浩史
《(その1)はこちら》
1 はじめに
2 事案の概要及び背景
(1) 事案の概要
(2) 取引の経緯と背景
3 地裁・高裁での議論
(1) 納税者Xと課税庁Yの主張
(2) 地裁・高裁の判断
4 最高裁の判断
5 事案の検討
(1) タックス・ヘイブン対策税制の目的及び本質論
我が国のタックス・ヘイブン対策税制は、「課税の繰延べ」を規制することを目的としたものではなく、「租税回避の否認」を目的としたものである(※3)。なお、タックス・ヘイブン対策税制の本質論に関しては色々な見解があり、表にまとめると以下のようになる(※4)。
(※3) 占部裕典「タックス・ヘイブン税制」『入門国際租税法 改訂版』清文社(2020)335頁。なお、我が国のCFC税制の立法者も「タックス・ヘイブン対策税制の目的は、軽課税国-いわゆるタックス・ヘイブン-にある子会社等で我が国株主により支配されているようなものに我が国株主が所得を留保し、我が国での税負担を不当に軽減することを規制することにある。」と述べている(高橋元監修『タックス・ヘイブン対策税制の解説』清文社(1979)92頁)。
(※4) 下表は、弘中聡浩「タックス・ヘイブン対策税制の条約適合性-グラクソ事件」『租税判例百選 第5版』別冊ジュリスト207号(2011.12)135頁を基に筆者作成。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。