事例でわかる[事業承継対策]
解決へのヒント
【第67回】
「少数株主や非上場株式買取業者から譲渡等承認請求を受けた場合」
太陽グラントソントン税理士法人
(事業承継対策研究会)
パートナー 税理士 梶本 岳
相談内容
私Eは、製造業を営む非上場S社の二代目社長です。S社は私と後継者である長男が議決権の3分の2にあたる株式を保有する同族会社で、残りの3分の1は父の時代に相続対策として株式を保有してもらった3名の社外株主が保有しています。
当社は業績好調で十分な内部留保がありますが、会社の財産を社外に流出させたくないとの思いもあり、これまで少額の配当しか行ってきませんでした。顧問税理士からは、「長男への相続・事業承継を考えて少数株主に今後も株式を継続保有してもらうことが望ましい。一方で、たいした配当もせずに少数株主が不満を募らせている状況は望ましくないため、株式を売却したいと思わせない程度の配当はしておくべき」とのアドバイスを受けています。
3名の株主は、株主総会で顔を合わせるたびに「もっと配当を増やしてほしい」、「配当する気がないなら適正な価格で買い取ってほしい」との要望をぶつけてきますが、配当期待権しか有していない少数株主に対して純資産価額などの彼らが期待しているであろう価格を提示する気にはなれませんし、できることなら従業員持株会などの友好的な株主に置き換えてしまいたいとも考えています。
ただ、私の周りでもM&Aの話を見聞きする機会が増えてきましたし、最近では新聞広告やインターネット上で非上場株式を高値で売却できると謳う広告を目にする機会が増えたように感じています。私が知らないだけで、少数株主でも株式が高値で売れてしまう方法があるのではないかと心配になります。
当社の定款には「当会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を受けなければならない」という譲渡制限が付されているので、株式を勝手に売却されてしまう心配はないと考えて差し支えないでしょうか。
また、当社のように私と長男が株式の大部分を保有しているような会社の少数株主には配当期待権しかなく、その評価額は配当還元価額や旧額面金額など低廉な価格になると認識していますが、この認識は正しいものでしょうか。
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