公開日: 2024/06/06 (掲載号:No.572)
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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例63】「個人間契約の貸付金を法人間契約に変更した場合の貸倒償却の是非」

筆者: 安部 和彦

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例63】

「個人間契約の貸付金を法人間契約に変更した場合の貸倒償却の是非」

 

拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、関東甲信越地方のある都市に本社を置き、首都圏を中心にフラワーショップを10店舗程度展開する株式会社X(資本金1,000万円で3月決算)に勤務しており、現在経理部長を務めております。わが業界は小規模で個人経営の店が個人客向けに花卉を販売する形態が大半を占めており、最大手であっても全国で200店弱(シェア1%強)というチェーン展開が難しい業界であるとされています。その主たる理由は、扱う花卉が規格化されておらず、また、鮮度が極めて重視されること、また、生活必需品ではなく個人の嗜好に左右されることにあるとされています。

そのような規模の経済を生かしにくい業界において、わが社は、一般のフラワーショップのように個人向けの花卉の販売も行っていますが、わが社独自のマーケット戦略として、主たる顧客ターゲットを、繁華街の高級クラブやラウンジ、ホストクラブ等とし、文字通り「華やかな」雰囲気を作り出すような花束やアレンジメントを納入するという分野に特に注力しており、この点から業界内において顕著な差別化が図られていると言えます。それもあって、コロナ禍で同業他社の業績が厳しい中、おかげさまでわが社の業績は堅調に推移しております。

一方で、最近受けた税務調査で1点解決していない事項があります。それは、わが社の代表取締役Yが取引先で飲食店業を営むZ社の代表者Aに対して行った貸付金債権につき、それをわが社とZ社間の貸付金に振り替えてから数年後、Z社がコロナ禍の業績不振により倒産したため、当該貸付金債権を償却し損金算入したことについての税務署との見解の相違です。Z社が倒産したのは客観的事実であることから、Z社に対する貸付金債権が回収不能となるのは当然であり、それを償却し損金算入することに何ら問題はないと思われるのですが、税務署の調査官は、当該貸付金は契約書の通り個人間のもので、わが社の損益には関係がないと主張します。これはどのように考えるべきなのでしょうか、教えてください。

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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例63】

「個人間契約の貸付金を法人間契約に変更した場合の貸倒償却の是非」

 

拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、関東甲信越地方のある都市に本社を置き、首都圏を中心にフラワーショップを10店舗程度展開する株式会社X(資本金1,000万円で3月決算)に勤務しており、現在経理部長を務めております。わが業界は小規模で個人経営の店が個人客向けに花卉を販売する形態が大半を占めており、最大手であっても全国で200店弱(シェア1%強)というチェーン展開が難しい業界であるとされています。その主たる理由は、扱う花卉が規格化されておらず、また、鮮度が極めて重視されること、また、生活必需品ではなく個人の嗜好に左右されることにあるとされています。

そのような規模の経済を生かしにくい業界において、わが社は、一般のフラワーショップのように個人向けの花卉の販売も行っていますが、わが社独自のマーケット戦略として、主たる顧客ターゲットを、繁華街の高級クラブやラウンジ、ホストクラブ等とし、文字通り「華やかな」雰囲気を作り出すような花束やアレンジメントを納入するという分野に特に注力しており、この点から業界内において顕著な差別化が図られていると言えます。それもあって、コロナ禍で同業他社の業績が厳しい中、おかげさまでわが社の業績は堅調に推移しております。

一方で、最近受けた税務調査で1点解決していない事項があります。それは、わが社の代表取締役Yが取引先で飲食店業を営むZ社の代表者Aに対して行った貸付金債権につき、それをわが社とZ社間の貸付金に振り替えてから数年後、Z社がコロナ禍の業績不振により倒産したため、当該貸付金債権を償却し損金算入したことについての税務署との見解の相違です。Z社が倒産したのは客観的事実であることから、Z社に対する貸付金債権が回収不能となるのは当然であり、それを償却し損金算入することに何ら問題はないと思われるのですが、税務署の調査官は、当該貸付金は契約書の通り個人間のもので、わが社の損益には関係がないと主張します。これはどのように考えるべきなのでしょうか、教えてください。

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連載目次

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

▷総論

● 法人税の課税所得計算と損金経理(その1~5)

▷事例解説

● 法人税の損金経理要件をめぐる事例解説【事例1~40】

・・・  以下、順次公開 ・・・

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
拓殖大学商学部教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。
平成26年9月、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻博士後期課程単位修得退学
平成27年3月、博士(経営法) 一橋大学
令和3年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野教授に就任。
令和5年4月、拓殖大学商学部教授に就任。

【主要著書】
・『事例で解説 法人税の損金経理』(2024年・清文社)
・『三訂版 医療・福祉施設における消費税の実務』(2023年・清文社)
・『改訂 消費税 インボイス制度導入の実務』(2023年・清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ消費税の判定誤りと実務対応』(2020年・清文社)
・『消費税 軽減税率対応とインボイス制度 導入の実務』(2019年・清文社)
・『[第三版]税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(2017年・清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(2017年・清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与の実務Q&A』(2016年・清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税』(2016年・清文社)
・『Q&Aでわかる消費税軽減税率のポイント』(2016年・清文社)
・『Q&A医療法人の事業承継ガイドブック』(2015年・清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(2014年・清文社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(2013年・清文社)
・『修正申告と更正の請求の対応と実務』(2013年・清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(2011年・清文社)
・『相続税調査であわてない「名義」財産の税務(第3版)』(2021年・中央経済社)
・『相続税調査であわてない不動産評価の税務』(2015年・中央経済社)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(2013年・中央経済社)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(2012年・税務経理協会)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(2012年・税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(2011年・税務経理協会)
・『ケーススタディ 中小企業のための海外取引の税務』(2020年・ぎょうせい)
・『消費税の税率構造と仕入税額控除』(2015年・白桃書房)

【ホームページ】
https://wasai-consultants.com

             

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