公開日: 2023/03/23 (掲載号:No.512)
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〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第12回】「エスコ事件-移転価格税制における推定課税-(地判平23.12.1、高判平25.3.14)(その1)」~租税特別措置法66条の4第7項(現行6項)~

筆者: 吉村 優

〈一角塾〉

図解で読み解く国際租税判例

【第12回】

「エスコ事件
-移転価格税制における推定課税-
(地判平23.12.1、高判平25.3.14)(その1)」

~租税特別措置法66条の4第7項(現行6項)~

 

税理士 吉村 優

 

  • 東京地裁:平成23年12月1日判決【税資261-233(順号11823)】(TAINSコード:Z261-11823)
  • 東京高裁:平成25年3月14日判決【税資263-42(順号12166)】(TAINSコード:Z263-12166)

 

1 事実の概要

精密小型モーター等の販売、高性能モーター及び各種制御基板の設計・開発等を行う同族会社である原告Xは、従前、非関連者である製造業者Dからモーター等を購入して独立第三者に販売していた。平成11年12月以降、パチスロメーカー向けコインホッパー用モーターを、香港所在の外国法人であり、Xの国外関連者(租税特別措置法[平成16年法律第14号による改正前のもの]66条の4第1項)に該当するBから購入するようになった。

国税当局は平成14年4月頃からXに対する税務調査を実施し、XとDとの取引にBが介在するようになってから購入価格が2倍強に高騰したとの事実を把握した。同年6月以降Xの代表者らに対し価格高騰の理由説明を求めるとともに、Xに対し少なくともBの財務書類につき6回、本件取引の価格算定の根拠となった資料につき4回提示を求めたが、Xはこれらの資料の提示に応じなかった。

国税当局は、独立企業間価格を算定するために必要と認められる帳簿書類又はその写しを遅滞なく提示又は提出しなかったとして租税特別措置法(以下「租特法」という)66条の4第7項(現行6項)に基づいて、独立企業間価格を推定して更正処分を行ったところ、Xがその取消しを求めた。

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【第12回】

「エスコ事件
-移転価格税制における推定課税-
(地判平23.12.1、高判平25.3.14)(その1)」

~租税特別措置法66条の4第7項(現行6項)~

 

税理士 吉村 優

 

  • 東京地裁:平成23年12月1日判決【税資261-233(順号11823)】(TAINSコード:Z261-11823)
  • 東京高裁:平成25年3月14日判決【税資263-42(順号12166)】(TAINSコード:Z263-12166)

 

1 事実の概要

精密小型モーター等の販売、高性能モーター及び各種制御基板の設計・開発等を行う同族会社である原告Xは、従前、非関連者である製造業者Dからモーター等を購入して独立第三者に販売していた。平成11年12月以降、パチスロメーカー向けコインホッパー用モーターを、香港所在の外国法人であり、Xの国外関連者(租税特別措置法[平成16年法律第14号による改正前のもの]66条の4第1項)に該当するBから購入するようになった。

国税当局は平成14年4月頃からXに対する税務調査を実施し、XとDとの取引にBが介在するようになってから購入価格が2倍強に高騰したとの事実を把握した。同年6月以降Xの代表者らに対し価格高騰の理由説明を求めるとともに、Xに対し少なくともBの財務書類につき6回、本件取引の価格算定の根拠となった資料につき4回提示を求めたが、Xはこれらの資料の提示に応じなかった。

国税当局は、独立企業間価格を算定するために必要と認められる帳簿書類又はその写しを遅滞なく提示又は提出しなかったとして租税特別措置法(以下「租特法」という)66条の4第7項(現行6項)に基づいて、独立企業間価格を推定して更正処分を行ったところ、Xがその取消しを求めた。

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連載目次

〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例

◆最新テーマ

▷ファイナイト再保険事件(地判平20.11.27、高判平22.5.27)〔西川浩史〕

◆これまでに取り上げたテーマ

筆者紹介

吉村 優

(よしむら・まさる)

税理士法人AI 代表社員/税理士
1971年6月 奈良市生まれ

【学歴】
奈良県立奈良高校
鳥取大学農学部
関西大学大学院法学研究科 法学修士

【経歴】
2014年:吉村会計事務所開業
2016年:税理士法人AI設立 代表社員就任

東証一部上場メーカーの財務部でキャリアをスタートし、その後数社において経理・総務業務を経験。
特に財政状態の悪化している企業の支援に長期間携わり、再建に関する各種の問題解決に精通。
資金繰り、経営計画書作成、金融機関対応の他、取締役会・株主総会の開催準備、社内規定の改定、訴訟対応等のバックオフィス全般の管理及び関係部署との調整業務を得意分野としている。

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